2014 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中後運動麻痺に対する新たな電気刺激療法と運動療法の併用効果に関する研究
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26750209
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
生野 公貴 畿央大学, 健康科学部, 研究員 (90722249)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳卒中 / 運動麻痺 / リハビリテーション / 電気刺激 / 運動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中後に生じる運動麻痺の改善は自立した日常生活活動を営むために,またQOLの改善に重要であるが,重度運動麻痺に対するリハビリテーション介入のエビデンスは圧倒的に不足している。従来より運動麻痺の治療に電気刺激がよく用いられているが,その刺激パラメータの科学的根拠は未だ不十分であり,最も効果的な方法で実施されているかどうかは不明である。本研究の目的は,より中枢神経系を興奮させる特異的な電気刺激パラメータが従来の方法よりも治療効果が高いかどうかを一般の臨床でも容易に実施可能な臨床関連性の高い治療プロトコルにて検証することである。この電気刺激方法と積極的な運動療法を組み合わせることで,改善が難しいとされる重度運動麻痺患者の上肢機能の向上が期待できる。 平成26年度は,その予備的段階として重度の運動麻痺を呈した3名の脳卒中患者に対して両側同時上肢運動と電気刺激併用治療の臨床的プロトコルを作成し,その臨床効果を単一事例研究におけるマルチプルベースライン法によって調査した。その結果,伝統的な理学療法単独よりも,両側上肢運動と電気刺激の併用治療の方が運動麻痺を改善させた。重度運動麻痺患者において伝統的な理学療法では改善がプラトーであったにもかかわらず,3症例全て本治療方法にて改善傾向を認めた。本研究の最終目的は,対象患者において臨床的に意味のある効果が得られるのか,実際の臨床に応用可能かどうかを明らかにすることである。したがって,今年度は,より中枢神経系を興奮させる特異的な電気刺激パラメータによってより麻痺肢の機能回復を促進できるかどうかをより質の高い研究デザインにて検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では,今年度より多施設共同研究を実施する予定であったが,研究実施協力者の急遽の異動があり,研究実施施設が限られる事態となっている。そのため,本研究課題の臨床研究実施における明確な結果を出すための必要サンプル数に到達できない可能性が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度において,予備的に新たな電気刺激パラメータによる麻痺肢の神経活動の賦活を検証する予備実験を実施していた。臨床効果に関する若干の知見を得たが,治療の生理学的根拠となる基礎研究におけるデータが未だ不十分である。今年度は電気刺激のパラメータと具体的な治療プログラムの更なる改良を目指す基礎研究を実施し,並行してその新たな治療プログラムの効果を判定する臨床試験を実施していく。 臨床効果を決定するための臨床試験に関しては新たな協力者を募り,実施施設の追加を模索する。
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Causes of Carryover |
旅費に関して,研究実施状況に遅れが生じたために予定していた国際学会に演題登録できなかった。そのため,旅費と演題登録費用の予算が必要なくなった。余剰分の経費に関して,研究実施で必要になった物品を追加購入した。これは,重症脳卒中患者を対象とした予備的介入研究を実施したため,対象者のリハビリテーションケアにおいて必要物品(肩関節亜脱臼を予防する装具や手関節を固定する装具)を統一させたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の臨床研究実施に必要となる電気刺激に用いる電極(消耗品)を購入する予定である。
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Research Products
(2 results)