2014 Fiscal Year Research-status Report
大腸がんの術後補助化学療法による末梢神経障害の客観的評価と温熱療法介入の効果検証
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26750225
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
井平 光 札幌医科大学, 保健医療学部, 助手 (60516590)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | がんリハビリテーション / 理学療法 / 化学療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
進行性大腸がんに対する抗癌剤のなかでキードラッグとしてオキサリプラチンが挙げられる。オキサリプラチンは白金製剤に分類される抗癌剤で、癌細胞内のDNAと結合するため癌細胞の増殖を阻害すると考えられている。しかしながら、オキサリプラチンは重篤な副作用として末梢神経障害を高頻度(90%以上)で引き起こすことが明らかになっている。当該研究の平成26年度の目標は、オキサリプラチン誘発性の末梢神経障害に対する客観的評価方法を検証することであった。この検証のため、オキサリプラチンを含むレジメンを施行した20名の化学療法実施患者を対象に、主観的なしびれ感、共通毒性基準評価、抹消皮膚温度検査、表在感覚閾値検査、二点識別覚検査、手指巧緻性検査、および握力検査を実施した。末梢皮膚温度検査、表在感覚閾値検査、二点識別覚検査、手指巧緻性検査、および握力検査に関しては、すべての測定項目で2回測定における相関係数が高く、信頼性の高い検査であることが確認された。また、表在感覚閾値検査、二点識別覚検査、および手指巧緻性検査は主観的なしびれ感と有意な相関関係が認められ、末梢神経障害の客観的な評価指標としての妥当性を有するものと考えられた。当該研究の特徴は、末梢神経障害の機能評価を詳細にかつ包括的に行うことである。表在感覚閾値検査や二点識別覚検査などの指標から評価される感覚機能と手指巧緻性検査や握力検査などの運動機能の両側面からオキサリプラチン誘発性の末梢神経障害の要因を明らかにし、次年度以降の介入効果を判定するための客観的評価指標となりうることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究では末梢神経障害評価を縦断的に実施することができている。したがって、オキサリプラチンの蓄積量と機能評価との関連性を縦断的に明らかにすることが可能であり、横断的な関連性だけでなく末梢神経障害に対する評価指標の機能的役割を明らかにすることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降の介入研究では、これまでの研究結果から有用と思われる客観的指標を用いて、末梢神経障害に対する温熱療法介入の効果検証を実施する。この際に、対象者を一定数以上確保することが課題の一つであると考える。オキサリプラチンをレジメンに含む治療対象は大腸がんに留まらず、膵臓がんや胃がんでも実施されていることから、これらの対象についても介入を施す可能性があることを念頭において研究を進める。
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Causes of Carryover |
次年度から開始される介入研究のための人件費を確保するため。また、研究調査および成果発表のための旅費を確保するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度からは介入研究に従事する者に対する人件費を定期的に支給する。また、5月に開催されるアメリカ臨床腫瘍学会での情報収集、および研究成果の発表を計画している。
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Research Products
(1 results)