2015 Fiscal Year Research-status Report
筋電図バイオフィードバックと運動イメージを用いた上肢機能練習プログラムの開発
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26750226
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
鈴木 貴子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (60549343)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 運動イメージ / 運動観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究の目的はリハビリテーションにおける手指ならびに上肢運動イメージ練習プログラムを開発することである.平成27年度はこれまでに作成した前腕・手関節・手指の運動イメージ惹起用映像を①平面視および②立体視用に分けて作成し,これらが運動をイメージさせうるかについて検証した.母指と示指の対立運動の映像ファイルを作成し,head mount display(HMD)を用いて映像を観察している被験者の運動イメージの鮮明性について,①平面映像(two-dimensional image: 2Di)条件と②三次元映像(three-dimensional image: 3Di)条件および黒色画面観察条件(baseline)で大脳皮質運動野への経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位(MEP)を導出して比較した.また,被験者が観察した映像についてイメージの鮮明性の主観的評価をVisual Analogue Scale(VAS)で比較した. その結果,当研究で作成した映像はHMDによる平面視と立体視が可能であった.2Di条件と3Di条件における運動誘発電位振幅は,baselineを基準とした比較において差はなかった.VASを用いたイメージの鮮明性の評価では,3Di条件の方が,視覚的運動イメージおよび筋運動覚的イメージよりも鮮明な傾向があった(p=0.073).当研究で開発した運動イメージ用練習プログラムのシステムは特許出願した(特願2016-088640). また,橈骨遠位端骨折患者を対象とした作業療法に前腕・手関節・手指の運動の映像を3Di条件で観察させるプログラムを組み込み,臨床でのデータ収集を開始した.臨床研究のための研究倫理審査は平成27年度中に受審して承認を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
健常者を対象とした手指の運動の映像の評価では,被験者の確保に時間がかかったことと,夏季の実験室の空調の調節ができず,一定の実験環境を保つことができなかったことにより,実験室の使用ができなかった.そのため,臨床での運動観察プログラムの開始がやや遅れた. また,肘関節の運動イメージ惹起のための映像については,現在も撮影方法を検討している段階である.
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Strategy for Future Research Activity |
橈骨遠位端骨折患者を対象とした3Dimageの運動観察を用いた作業療法プログラムを協力施設にて継続して実施し,治療成績に関するデータの収集を行う. 肘関節の運動イメージ惹起のための映像撮影の方法を確定し,撮影を行う.また,作成した映像については,健常者を対象として,映像による運動観察中の運動イメージの鮮明性について評価を行う.
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Causes of Carryover |
肘関節の運動に関する映像の撮影方法が検討段階にあり,必要な機材の購入を行わなかったため. 特許出願準備は平成27年度末に完了したが,申請と手続きに必要な費用の執行が平成27年度内にできなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
肘関節の運動に関する映像を撮影する方法を決定し,撮影および被験者が映像による運動観察を行う際に必要な機材を購入する.被験者への謝礼および,特許が承認された際の費用にも使用する.
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