2014 Fiscal Year Research-status Report
地域に在住する精神障害者に対する音楽療法の有効性を検証する
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26750227
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
浅野 雅子 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 准教授 (20404791)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 精神障害 / 社会参加 / 音楽活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域に在住する精神障害者へ音楽療法を行うことによる、医学的側面と日常生活的側面の両者への影響を確かめ、さらに、当事者の生活に音楽活動が組み込まれることで地域生活の維持が可能となるかについて検証することを目的とした。 申請者の音楽療法実践フィールド施設にて、音楽療法の実践と音楽発表会の企画および実施を行い、①音楽療法介入の効果(医学的側面としてBPRS, BACS-Jを、日常生活的側面としてLASMIを測定)、②地域生活の持続効果(救急外来の利用や症状再燃状況の調査、QOLや自己効力感の測定)を検証し、同様に大会出場を目標にサークル活動を実施しているスポーツ群、特別サークルに所属していないセンター利用者群を対照群とし、③活動内容の違いにより効果に違いがあるのかを検証することとした。 平成26年度は一つの研究協力施設で実施する予定であったが、今年度内に2つの協力施設で音楽療法介入を実施した。このうち、一つの施設はこの研究のために新たに音楽療法をプログラムを導入したため、活動を定着させることからの開始であったが、概ね順調に活動を継続できている。両施設の音楽療法実践において、回を重ねるにつれ、参加者の肯定的な行動変容が確認された。しかし、音楽療法参加者の多くがスポーツ活動にも参加していたことから3群比較が困難であること、参加者の3割程度が発達障害領域の方であったこと、施設職員の都合などの理由により効果判定が未実施の状況である。 平成27年度は、平成26年度と同様の活動を別対象に実施し、症例数を増やして信頼性・妥当性を高める予定であったが、平成26年度のうちに2施設での介入が行えたことから、効果判定方法や実験デザインを再検討した上で研究を遂行し、地域に在住する精神障害者への音楽の有効性を検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度の研究計画予定では、精神障害者、とりわけ統合失調症者を想定して評価項目を選択していたが、他疾患の方が含まれていたこと、研究実施施設職員の協力を得て音楽療法介入前後の評価を測定する予定であったが、研究協力施設職員の退職や業務過多などの都合により、測定困難な状況であり、評価測定は参加者の行動変容や主観的評価にとどまっている。また、当初予定していた対照群の設定が困難なことが見込まれた。 今後はこれらの状況をふまえ、研究デザインを再考し、対象に合わせて簡便で負担の少ない評価方法を再検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
早急に、現実験参加者および協力施設の状況に適した評価項目を選択し、打ち合わせなど行った上で実験(効果判定)を実施する。 研究を遂行する上で、実験内容の修正やデータ追加収集などの必要性がでた場合には平成28年度まで延長する。その際に必要な経費については研究計画を見直し、費用を繰り越すこととする。
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Causes of Carryover |
今年度、評価測定が困難であったことから、実験参加者や評価測定者への謝金、および学会参加への旅費が未使用のままである。次年度は、継続的に展開する音楽療法実践に関わる諸経費、実験参加者への謝金、そしてデータ解析に関わる費用を検討している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
音楽療法実践に関わる諸費用(主に楽譜や楽器)、実験参加者への謝金、データ解析に関する諸費用のほか、次年度はこの研究の最終年度であることから、本研究で得られた知見を関連学会へ発表することのほか、論文として投稿する諸費用への使用を予定している。
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