2014 Fiscal Year Research-status Report
コルチコトロピン放出ホルモンが運動学習に及ぼす影響
Project/Area Number |
26750240
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
竹内 絵理 東海大学, 創造科学技術研究機構, 特定研究員 (70712777)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | コルチコトロピン放出ホルモン / 運動学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
コルチコトロピン放出ホルモン(corticotropin releasing hormone,CRH)は視床下部室傍核から分泌される41個のアミノ酸からなるペプチドホルモンであり、視床下部-下垂体-副腎系を介したストレスの内分泌反応において中心的な役割を担っている。また、近年では内分泌系だけでなく中枢神経系においても重要な働きをすることが明らかとなった。例えば、小脳では運動学習の基盤メカニズムである長期抑圧に必要であることが報告されている。しかしながら、CRHと運動学習の関係についてはいまだ明らかにされていない。生体内においてCRHが小脳の長期抑圧に関与するならば、CRHは運動学習にも影響を与えるのではないかと考えられる。そこで本研究課題ではCRHの運動学習における役割を解明することを目指し、平成26年度は行動学的手法を用いて検討した。実験動物としてオスのWistarラットを用い、運動学習課題としてロータロッドテストを行った。ラットをCRH群とPBS(リン酸緩衝食塩水)群に分け、ロータロッドテストを行う直前にCRHおよびPBSを小脳に注入した。ロータロッドテストはロッドの回転速度を一定に保ち、ロッド上における最大歩行時間を120秒とし、試行間に120秒の安静時間を挟んで10回行った。CRHを注入したラットの各試行におけるロッド上の滞在時間はPBSを注入したラットよりも長く、運動学習の獲得が亢進する傾向が観察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度の研究計画では、血漿コルチゾールを計測しラットの運動学習過程におけるストレス指標とする予定であった。しかしながら、採血用カニューレを取り付けたラットから行動実験中に複数回採血を行うことが非常に困難であり、さらなる改善が必要となった。そのため、コルチゾールの解析にまでは至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度では、前年度の研究計画で達成できなかった血漿コルチゾールの調査を行う。また、CRHが小脳の神経活動に及ぼす影響について検討するために、運動学習課題遂行中の小脳プルキンエ細胞の神経活動を記録し、得られたデータと運動学習結果を比較し、CRH注入による運動学習獲得への影響と小脳プルキンエ細胞の神経活動との関係を調査する予定である。
|
Causes of Carryover |
平成26年度では血漿コルチゾールの定量を行う予定であったが、行動実験中に採血を行うことが困難であり、当初の研究計画で必要であったコルチゾール定量キットの購入がなかったことに加え、注文していた試薬の製造が遅れており平成26年度中に入手することができなかった。これらの試薬類はとても高価であるため、次年度への繰越金が発生するに至った。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越金は平成26年度に製造中で購入できなかった試薬およびコルチゾール定量キットの購入に充てる予定である。
|