2014 Fiscal Year Research-status Report
金管楽器奏者の表情筋活動と口腔内圧力とマウスピースフォースの協調制御について
Project/Area Number |
26750241
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Research Institution | Osaka Seikei University |
Principal Investigator |
平野 剛 大阪成蹊大学, マネジメント学部, 助手 (00707515)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 運動制御 / 協調制御 / 金管楽器演奏 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である本年度は、まず表面筋電図計測に必要な機材ならびにデータの取り組みと解析に必要な機材の購入、そして「楽器と唇の接触部にかかる力(マウスピース力)」計測装置の開発を行った。次にこれらの機材を用いて実験環境を組み立て、数名の被験者を用いて「表情筋の活動」と「マウスピース力」と「口腔内の圧力」のそれぞれに対して予備実験を行った。そこで計測環境に不備がないこと、実験が適切に行えること、そして作成したデータ解析プログラムに誤りがないことを確認した。 マウスピースフォースに関しては、開発した計測機を用いて熟達奏者10名に対して本実験を行った。その結果、熟達奏者は演奏する音の高さに対してマウスピース力を強く発揮していること、高い音ほどマウスピース力の個人間のばらつきは大きいこと、大きな音量ほどマウスピース力は強く発揮されることを明らかにした。また、音出し瞬間のマウスピース力と音が安定して鳴っているときのマウスピース力は、大きな音量を演奏したときのみ異なることを明らかにした。以上の結果から、マウスピース力は振動する唇の張力を変化させる役割、ならびに息圧の変化による唇からの息漏れを防ぐ役割を担っていることが示唆された。これらの研究成果はさまざまな学会やシンポジウムなどで発表を行い、特に日本音響学会からは奨励賞を受賞した。現在は、未熟達奏者のマウスピース力も計測しており、熟達度によるマウスピース力の制御の違いを明らかにしつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、当初の実施計画通り表面筋電図計測に必要な機材の購入、データの取り組みと解析に必要な関連機材の購入、そしてマウスピースフォース計測装置の開発を行った。また実験環境を組み立て、数名の被験者を用いて予備実験を行い、計測環境に不備がないこと、実験が適切に行えること、また作成したデータ解析プログラムに誤りがないことを確認した。さらに、マウスピースフォースに関して実験を行い、成果をまとめて国内の学会で発表を行った。以上のことから、本件の研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は当初の実施計画通りに研究がおおむね進展したことから、2年目にあたる本年度も実施計画通りに研究を進めていこうと考えている。まず、「表情筋の活動」と「マウスピース力」を同時計測できる実験環境を準備し、数名の被験者に対して予備実験を行う。不備なく実験が行えることを確認ができたら、熟達奏者を対象に実験を行い「表情筋の活動」と「マウスピース力」の協調制御に関する考察を行う。得られた成果は、国内および国際学会で研究成果を公表する。続いて、この2つの指標の同時計測に加えて「口腔内の圧力」も計測できる実験環境を準備し、熟達奏者を対象に同様の手続きで実験を行う。さらに、初年度に実験を行った「マウスピース力」に関する研究成果は、英文化し原著論文として運動制御学関連の国際誌に投稿するため、執筆を行う。
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