2014 Fiscal Year Research-status Report
「いのちの教育」における「身体」の位置づけ-歴史的展開からの再考-
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26750244
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
青柳 路子 茨城大学, 教育学部, 准教授 (70466994)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 身体 / いのち / 人間存在 / 身 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「いのちの教育」における「身体」の位置づけを問い直すことを目的としている。この目的を達成するため、文献研究とフィールドワークから、これまで日本で行われてきた生と死の教育の実践、および、その理論・研究を詳細に分析し、その実践において「身体」がどのような位置づけにあったかを検討する。また、生と死を含む、これからの「いのちの教育」について、どのように身体を位置づけることが「いのち」の学びや死生観の醸成に資するか考察するものである。 研究の初年度である平成26年度は、日本の生と死の教育についての理論研究や実践などについて、時代的・社会的背景を考慮しながら、その射程と変遷について文献研究を行った。 結論にまでは至っていないが、研究の進捗状況は次の通りである。 これまで行われてきた日本の生と死の教育についての実践では、特に初期の実践では「身体」が考慮されていた。いわば、「人間存在」が生と死を含む「いのち」とほぼ同義であり、心理的な側面だけでなく身体的な側面も考慮された実践が行われていたと言える。しかし、生と死の教育が「いのちの教育」を掲げ、時代の要請に応えるようになっていくと、「身体」が抜け落ち、心理あるいは精神的な面が強調される傾向にある。 こうした変化が個人に根ざす狭義の「いのち」と、個人を超えて受け継がれる広義の「いのち」観とどのように関わるのか、また実践に対して理論研究がどのような貢献をしたのかについては、現在、検討を進めているところである。また本研究で着目している「身体」の位置づけについて、日本語の「身」というとらえ方からも再考しつつ、アメリカでの生と死の教育における「身体」の位置づけについて検討する基盤をつくりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度に予定していた文献研究で、日本における文献研究は進めらているものの、アメリカにおける文献研究が十分に進められていない。進められなかった理由は、平成26年度に予定していた文献の入手が困難になり、研究の資料が得られなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に得られなかった文献研究資料を早期の段階で得て、研究の遅れを取り戻す。文献研究は若干遅れ気味だが、2年目に計画していたフィールドワークは予定通り行い、フィールドワークから得られた結果も文献研究に還元するようにすることで、予定した研究目的を達成したい。
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Causes of Carryover |
使用額に変更が生じた最大の理由は所属機関の変更である。これにより、予定していた研究が十分に遂行できず、使用用途についても大きな変更が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新しい機関での研究体制が整ったので、平成26年度で残された研究を次年度・平成27年度に遂行する。それによって生じた研究費の差額も解消する。
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