2016 Fiscal Year Research-status Report
「いのちの教育」における「身体」の位置づけ-歴史的展開からの再考-
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26750244
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
青柳 路子 茨城大学, 教育学研究科, 准教授 (70466994)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | いのちの教育 / デス・エデュケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
「いのち」をとらえるとき、身体は重要な位置を占めると考えられる。では、これまで行われてきた「いのちの教育」において、身体はどのように位置づけられてきたのだろうか。「いのちの教育」をより展開させていくために、「いのち」と身体の関係性を問うことが本研究の主題である。特に日本の「いのちの教育」は、アメリカの影響を受けて展開してきた経緯があることから、日米の「いのちの教育」つまり生と死の教育の比較を行うことを本研究の柱としている。 平成28年度は、アメリカの「いのちの教育」に関する雑誌を資料として、生と死を教育で取り扱うとき、身体がどのように位置づけられてきたかを検討した。現段階の研究状況では、アメリカの「いのちの教育」の場合、デス・エデュケーションがその源流であるためか、「死」そのものを主題とするものが多く、「いのち」の中に位置付く身体について論及されている教育に関わる文献はきわめて少ない状況である。 一方、日本で行われてきた「いのちの教育」に目を向けると、理論面ではアメリカと同様な状況が見出される。しかし教育実践例では身体を扱っている事例が参照できた。「いのち」そのものを扱った授業等では確かに身体そのものは主題になりにくいいが、その周囲には身体が位置づけられている。身体は「いのち」を学ぶときの主題にはなりにくいが、「いのち」を支える土台として学ばれている状況を見出すことができた。 こうして見出されてきた研究の成果を踏まえて、現在は身体の中の生と性という視座から「いのちの教育」の捉え直しを行っている。また日米比較の結果を整理し、日本の「いのちの教育」実践者らの取り組みを土台に、「いのちの教育」において身体をどのように位置づけていくべきかの考察を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過年度に発生した異動、移動先での大学院新開講による業務の多忙化により生じた研究の遅れが現在にも影響している。研究は鋭意進めているが、遅れを十分に取り戻せないため、研究期間延長を申請することにした。最終年度は、研究成果の精緻化、公表に尽力する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の遅れはあるものの、成果は見出せてきている。課題としては、日米の比較を行う本研究で、日本における「いのちの教育」の実践例は資料として多く入手できるものの、アメリカの「いのちの教育」の具体的な実践例については資料入手が難しい状況であることだ。今後はその課題を解決できるよう留意し、研究としての難点を克服できるようにしたい。 また、今後は研究成果を総合的に考察し、公表することで、他研究者との意見交換を行い、研究の精緻化を図りたい。
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Causes of Carryover |
研究の遅れが生じたため、最終的な研究結果の考察・検討を行うべく、次年度使用額を生じさせることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、研究成果の発表、報告書のまとめに費用をあてる計画である。
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