2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Study on Positioning of Body in Life and Death Education by Reconsideration Historical Development
Project/Area Number |
26750244
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
青柳 路子 茨城大学, 教育学研究科, 准教授 (70466994)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | いのちの教育 / 身体 / デス・エデュケーション / 生 / 性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日米における生と死の教育を比較することによって「いのちの教育」における身体の位置づけを問うことを主題としてきた。昨年度までの成果として、生と死の教育の理論面では日米ともに身体は特に重視されてはいなかった。その一方で、教育実践では、日本では身体を位置づけながら「いのち」を支える土台として学ばれている例を見出すことができた。 こうした実績のもと、本年度は研究全体のまとめとして「いのち」そのものをとらえなおし、そこから「いのちの教育」において身体をどのように位置づけていけばよいかについて考察を加え、その概念化を試みた。 「いのちの教育」の実践家や理論家の著述から「いのち」のとらえを整理すると「いのち」は観念的であり、個を超えて他者や自然とつながっていくものとしてとらえられている。しかし、いのちの現れでもある身体はそうしたつながり出て行くものを再び個へと還元する。こうした身体のもつ性質をもとに、個から他者・自然へつながり出て行く「いのち」のベクトルを再び自己に戻していくものとして機能させること、なおかつその往還のベクトルを経た上での起点として身体を位置づけることが重要なのではないか。また身体は、想像・イメージを経て他者の経験を体験できるものとしても機能する。こうした身体を通した共有も「いのち」の理解を育む上で重要であると考察した。 本研究に取り組んで、日本の「いのちの教育」は単にいのちの大切さを取り上げるだけでなく、子どもたちが生きていくための力を育むことを重視して実践されていることが、特に学校教育において顕著であると理解された。子どもが個として生き、他者とつながっていくための身体をよりいっそう機能させるという観点から個々の生や性に関する教育実践の検討を行うことが今後の課題である。
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Research Products
(1 results)