2014 Fiscal Year Research-status Report
自然体験活動における安全管理能力のトレーニングシステムの開発
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26750248
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Research Institution | Hokusho University |
Principal Investigator |
青木 康太朗 北翔大学, 生涯スポーツ学部, 准教授 (60593457)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自然体験活動指導者 / 危険予知 / 監視活動 / 視線行動 / 安全教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究では、自然体験活動における安全管理に関する方法論を構築することを目的に、以下の2点について検証を行った。 ①自然体験活動の監視活動における効率的な視線行動 自然体験活動の監視時の熟練指導者と初心指導者の視線行動を比較すると、熟練指導者は視点が一部に集中しないよう場面に応じて一定のリズムとスピードで全体的にバランスよく視線を動かしているのに対し、初心指導者は一定の箇所に視線が集中していたり、視線を早く動かしすぎて全体的な状況把握はあまりできていないなどバランスよい目配りができていないことが分かった。そこで、熟練者の注視点の軌跡を分析したところ、熟練指導者は見るべき範囲が広い場面では一度に広範囲の状況を把握するため「周辺視走査法」を用い、ケガのリスクが予想され、監視範囲が狭い場面では危険の見落としがないよう「中心視走査法」を用いていることが明らかとなった。 ②自然体験活動における安全教育が危険認知能力の向上に及ぼす影響 キャンプ実習の参加者を対象に危険認知テストを行い、実習前後の危険認知率の変容を検証した。危険認知テストで用いた活動場面は、実習で実施する薪割りと野外炊事、実習では実施しない川遊びとした。その理由として、実際に活動する薪割りと野外炊事は、活動を始める前に活動中に起こりうる事故やケガ、その対処法について指導するため、実習後は参加者の危険認知率は有意に向上すると予想されるからである。分析の結果、野外炊事のほうが川遊びと比べると参加者の危険認知率が大きく向上しており、特に潜在危険に対する認知率の向上が大きいことが明らかとなった。 以上より、本研究では、熟練指導者と初心指導者の視線行動の比較によって、自然体験活動の監視活動における効果的な視線行動を明らかにするとともに、自然体験活動における安全教育が危険認知能力の向上に及ぼす影響を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度(1年目)は「①熟練した指導者の視線行動の検証」と「②ケガや事故に関する知識と危険認知の相関の検証」を行う予定にしており、いずれも一定の研究成果を得ることができたため。 なお、②に関しては当初の研究計画と検証方法が変更になったが、ケガや事故に関する知識と危険認知の相関については一定の関係性を明らかにすることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度(2 年目)は、前年度の研究成果を踏まえ、キャンプで行われる代表的な活動場面における具体的な危険予知・回避方法を明らかにし、自然体験活動における安全管理関する方法論を構築する とともに、その研究成果を応用し、青少年教育施設や青少年関係団体等で行われている指導者養成で簡便に使える安全管理能力のトレーニングシステムを開発する。
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Causes of Carryover |
当初の見積より低額だったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費として支出する予定
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Research Products
(3 results)