2017 Fiscal Year Research-status Report
体つくり運動における「ほぐし」と「体力向上」の融合型教材試案
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26750249
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
檜皮 貴子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 講師 (50463948)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 投能力向上 / 投の運動教材 / ペアリズム運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度は、以下の研究を実施した。 ①低・中学年の男子児童4名(7.8±1.2歳)を対象に、1回45分程度の運動指導を全3回実施した。その際、楽しさを重視するために、投げる動作を直接的に指導するのではなく、ひねり感覚や体重移動感覚、ムチ動作感覚、リリース感覚の各感覚を養うことができるように教具を工夫し、指導した。その結果、事前測定において、対象児童4名のうち3名は、ソフトボール投げの値が全国平均値を大きく下回り、さらに、投動作評価得点においても先行研究の値を大きく下回る結果であった。この遠投が苦手な児童3名において、3回の指導前後で、ソフトボール投げの記録が有意に向上した。すなわち、今回考案した教材の実施が児童の投擲距離の向上に影響を与えた可能性が示された。さらに、形成的授業評価においては、意欲・関心の次元が、高い値で推移したことより、今回考案した運動教材が、児童の実態に即した内容であり、運動意欲を増幅させることのできる運動内容であったものと推察された。 ②体つくり運動やダンスの授業の導入で用いられる手具なしの運動である「ペアリズム運動」の教材に焦点を当てた。N大学の学生40名(男性15名,女性25名)を対象とした。ペアリズム運動時の気分を調査するために、運動実施前後において、徳田(2007)が作成した一時的気分尺度を測定した。その結果、ダンス授業の導入に用いたペアリズム運動は、実施者の気分を良い方向へ導くことができ、特にダンスを不得意とする者には、その傾向が顕著にあらわれた。加えて、今回実施した運動の内容について、実施者が肯定的に受け取っている傾向も示された。つまり、ペアリズム運動は、ダンスや体つくり運動の授業導入期に用いる教材のひとつとしてその可能性を有しており、特にダンスや体操を不得意と感じている学生が気分良く実施できる内容であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、投げる力を向上させることを目的とした融合教材の試案と児童への運動指導、その成果をまとめることができた。さらに、大学生を対象に体ほぐしをねらいとしたペアリズム運動教材の有用性についてもダンス授業における実践で検証することができた。そのため、大きな遅延なく、研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、最終年度にあたるため、すでに実験を終えている「児童のバランス能力向上をねらった融合教材」とその指導成果についてまとめる予定である。さらに、融合教材の実施による体力的な有用性を測定することができる汎用性のある測定方法についても検討してみたい。以上の内容とこれまでの研究内容を合わせて、体つくり運動における融合教材の可能性についてまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
本年度が研究最終年度であったが、計画よりも実験・調査内容を広げられたため、研究期間を1年延長した。延長期間の学会発表や論文投稿のために、次年度に研究費を持ち越した。
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