2014 Fiscal Year Research-status Report
器械運動における新しい教具の開発-運動説明の新技術とその役割-
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26750258
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Research Institution | Shigakkan University Junior College |
Principal Investigator |
村山 大輔 至学館大学短期大学部, その他部局等, 助教 (90582669)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 器械運動 / 運動指導 / 教具 / スポーツ運動学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、体育の器械運動における新しい教具の開発とその役割に関する研究である。本研究では、1.これまで詳しく取り上げられてこなかった教師の運動説明をめぐる問題(教師の説明不足による指導ミス等)を浮き彫りにし、2.それを解決する為に現在筆者が開発中である運動呈示教具をさらに発展させ、3.それを使用した指導実践を行い新教具の使用可能性を探り、4.その成果を運動指導現場に寄与することが目的である。 これを達成するために2年間で(1)体育授業における運動呈示における既存の有効手段とその問題点の把握、(2)マグネット製の人形を使用した指導実践、(3)指導実践から得られた結果に対してスポーツ運動学的立場からの考察、(4)関連学会での発表、実践への提言という4段階の内容を設定した。 平成26年度においては、(1)および(2)を重点的に行った。(1)の運動説明の既存の方法としては、実際に見本を見せる〈示範〉やVTRを使用した映像機器による運動の説明の他に、絵や図を描いての説明やデッサン人形(立体型の模型)などを使用した説明なども利用されていた。そこでの問題としては、教師の運動説明における表現技術の差による伝達力に左右されるという点であった。すなわち、いくら便利なツールが用意されていてもその使い方に洗練していないと効果がないという点が指摘される。 そこで、本研究では、それらを改善するために、多くの教師が説明しやすいような教具の開発を進めた。そこでは、いくつものマグネット人形を試作する中で、いくつかの特徴を押さえたものが完成した。現在は、いくつか試行錯誤して作成した人形の中から最も使用しやすい大きさのもの(身長約45cm)を筆者自身が担当する器械運動の授業にて使用し、運動説明の効果を検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、器械運動における運動説明の為のマグネット人形を作成し実践の中で使用する中で、その効果を検証してきた。また、それらを検証するに至った経緯を学術的背景も確認してきた。これらの行程については当初の予定通り進んでいると考えられる。 これらに加え、小学校教員をはじめ、中学校体育教員、高等学校体育教員、さらにはスポーツクラブにおける指導者の方から、運動指導に関して直面している問題や筆者が作成したマグネット人形についてご意見いただくことが出来た。これについては、当初の予定より一歩進んだ研究材料が得られた。 とりわけ特筆するべき点は、平成26年10月にそれまでの研究成果を学会にて口頭発表した点である(第28回日本スポーツ教育学会大会-愛媛大学-)。10月の発表においては、マグネット人形の作成法とバリエーションの紹介、その使用可能性を示唆するまでにとどまったが、多くのスポーツ教育学および教科教育の専門家よりご意見を頂けた。 当初は26年度に学会発表する段階まで進まないと考えられていたが、学校現場で苦労される教員やスポーツ指導者のご意見やご協力も頂き、学会発表するまでに至った。その点においては当初の予定より進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の進捗状況を踏まえて、27年度は筆者が作成したマグネット人形が器械運動における指導的効果を検証し、その使用可能性を学術的に考察することで指導現場に貢献できる知見を得る。具体的には、年度の前半では、指導実践の遂行と記録したビデオ映像を確認・整理し、考察のための基礎資料を作成する。また、教師と学習者の運動に関する会話やジェスチャー(身振り・手振り)も同時に記録し、考察のための基礎資料とする。それらの行程を済ませた後は指導実践から得られた資料が指導現場にどう活きるかをスポーツ運動学的立場から考察する。ここまでの行程をできるだけ早く完了し、これまでの成果を学会にて発表し、多くの専門家や研究者から意見をいただきたい。そしてそれらの意見を踏まえてまとめとして、指導現場に立つ教師に伝達したい。
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Causes of Carryover |
平成27年度は、上記計画を遂行するために、資料収集のための機器や消耗品、学会発表するための旅費などが主である。これらは当該研究の活動に必要不可欠な経費であると考える。以下の使用計画の通り計上したい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度においては、1.映像資料を蓄積・保存するための機器、2.学術的背景や資料収集のための文献、3.学会参加・および発表するための旅費、4.研究資料・考察資料を作成・推敲するための消耗品を使用したい。 これらはすべて、器械運動における新しい教具の開発のために使用され、指導現場に寄与するために購入される。以上の内容を適正かつ合理的に使用し、当初の目的を達成する予定である。
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Research Products
(1 results)