2014 Fiscal Year Research-status Report
相対的または抽象的な表現での運動強度呈示下における力覚変化と運動制御機構の解明
Project/Area Number |
26750264
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
速水 達也 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 講師 (50551123)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 運動感覚 / 力覚 / グレーディング |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、抽象的あるいは相対的な運動強度呈示下における主観と客観との誤差の定量化と、筋活動様相の解明を目的とした。対象者は、整形外科的および神経学的な既往がない成人男性とし、力覚測定および筋電図測定を実施した。運動強度の呈示は、相対的な呈示として、最大努力の10%から90%までの10%刻みで9段階(数値使用条件)、抽象的な呈示として、「全力より少し弱く」「半分より強く」「半分より少し強く」「半分より弱く」「弱く」等の11段階(数値不使用条件)、合計20段階とした。力覚測定として、対象者が発揮した力を測定し、呈示された運動強度下で行った力発揮が実際はどの程度の強度であったかを定量化した。その結果、数値使用条件では、20%maxから60%maxの間で隣り合う運動強度との間に有意差が認められなかった(p>0.05)。数値不使用条件では、「半分より少し弱く」と「半分より弱く」との間に有意差が認められなかった。それら以外に関しては、すべて有意差を認めた。数値使用条件および数値不使用条件ともに、およそ約5割より低い運動強度においてグレーディングが困難となる傾向が伺えた。低強度下での力発揮においては、目標力に対してovershootすることから、微細な運動調節が困難であることを示していると考えられた。また、数値不使用条件の結果は、基準より低い(弱い)運動強度を指定する際、「少し」の表現が曖昧さを助長する可能性を示していることが考えられた。さらに、数値使用条件と不使用条件との間で、同程度の運動強度が実現される運動強度呈示の対応関係が明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、運動強度の呈示方法(数値使用の有無)による、力覚変化の相違について明らかにすることができた。また、呈示方法が異なりながらも、同程度の力発揮がなされる段階を同定することができた。さらに、筋活動様相に関しても、おおむね計画通りに測定しつつ、解析途中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、同程度の運動強度が実現されていた各呈示方法下において、皮質脊髄路興奮性の相違を明らかにする。経頭蓋磁気刺激を用い、運動誘発電位を計測する。単発刺激のみならず、二連発刺激も行い、促通性および抑制性の効果についても検討する。加えて、末梢神経電気刺激によりH波を記録し、脊髄運動ニューロンプールの興奮性も記録する。これらの結果から、本研究にて実施する運動課題および運動強度条件における上位中枢の運動制御機構を解明する。
|
Causes of Carryover |
当初計画で予定していた、下肢用の筋力測定装置の改修を次年度に延期したため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、H27年度請求額とあわせ、主に下肢用筋力測定装置を含めた実験セッティングの改修に使用する。
|