2014 Fiscal Year Research-status Report
Collective Efficacyの向上に影響を及ぼす要因の縦断的検証
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26750270
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
池田 英治 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 研究員 (70726877)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | collective efficacy / coaching / team performance / group dynamics / group function |
Outline of Annual Research Achievements |
パフォーマンスと有意な関係性にあることが報告されている“Collective Efficacy”(CE)の競技スポーツ場面での応用例は,わが国においては未だ確認されていない.そこには,①客観的妥当性を有した尺度の開発,②縦断的データの収集,③CEを向上させるための資源の解明,および④理論的枠組みに基づく介入方法の検討,に大きな課題がある.そこで,本研究では,バスケットボール・チームを対象にCE尺度(CE-Defense)を開発し,CEの経時的データを収集・検証することを通してCEに影響を及ぼす要因・資源を明らかにした上で,CEを援用したチーム・パフォーマンスの向上への具体的な方法論を明らかにすることを目的としている.
平成26年度の研究課題は,CE-Defense尺度を作成するために,①項目選定,②予備調査,③本調査,を行うことであった.作成に際しては,我々が開発し,信頼性・妥当性が確認されているCE-Offense尺度(Ikeda et al., 2014)をベースに,主にスポーツ心理学におけるCE尺度に関する研究およびバスケットボールに関する文献を参考として項目を選定した.その後,それらの内容的妥当性を担保するために専門家との合議によって項目を精査し,約50項目を予備調査項目として設定した.具体的には,バスケットボールにおけるDefenseは,Offenseと相反する関係性にあることから,Ikeda et al(2014)の項目を逆説的に記述する手続きを採った(1例として,CE-Offense尺度での「相手のディフェンスのズレを生み出したり,アウトナンバー状況をつくり出すことができる」を,CE-Defense尺度では,「ディフェンスのズレやアウトナンバー状況をつくり出さないようにすることができる」とした).今後,関東大学バスケットボール連盟および東北大学バスケットボール連盟に所属する選手に対して予備調査を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度における研究実施計画は,バスケットボールに特化したCE尺度(Defense)を作成することであった.①項目選定,②予備調査,③本調査の3課題のうち,項目選定にかかる文献研究およびバスケットボール,スポーツ心理学を専門とする者との合議に想定よりも多分に時間を要し,また,調査対象者の募集が難航を極めたため,項目選定の段階までの終了に留まっている. 従って,研究全体としての達成度はやや遅れているといえるが,平成27年度における研究課題について見直し・修正を行ったことにより,27年度内に26年度研究実施計画における未達成課題を含めた全ての課題を完遂できる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究実施計画は,26年度に実施できなかったバスケットボール版CE尺度(CE-Defense)の予備,本調査を含めた以下の3点を実施する予定である. 第一に,CE-Defense尺度の予備,本調査を行う.調査に際しては,直接配票法および郵送法の併用にて実施する.本調査においては,予備調査における因子分析によって抽出された項目について,再度の文献精読による理論的検討を行った上で,項目を追加・削除・修正し,調査に用いる予定である. 第二に,CE-Defense尺度の縦断的データの収集を行う.関東大学バスケットボール連盟もしくは東北大学バスケットボール連盟に所属する選手を対象に,試合準備期,試合期を含む一定期間内におけるCE尺度得点等の変容を調査する.収集したCE尺度得点,バスケットボール競技特有のパフォーマンス指標の得点,凝集性尺度得点,および一般性CE尺度得点について, Multi-level分析およびCoherence(関連度関数)の手法を用いて分析を行う予定である. 第三に,CE尺度を用いた介入研究を行う.縦断的データの分析および文献研究による理論的検討を通して,バスケットボール版CE尺度(Defense,Offense)得点に影響を及ぼす強化方略を導出する.その導出した介入方法の効果を並行群間比較によって実験的に検証する予定である.
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Causes of Carryover |
平成26年度予算計画に計上した研究費について,「研究実績の概要」および「現在までの達成度」にて記述した通り,質問紙調査研究における予備,本調査を実施できず,それににかかる「旅費」の支出が抑えられたこと,および収集したデータを保存・分析するための物品(①統計解析用PC,②データ保存用HDD,③統計解析ソフト:Multivariate Software EQS6)を導入するに至らなかったこと,以上の2点の理由から次年度使用額が生じることとなった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度において,「物品費」に関しては,26年度に使用予定であった品目(①統計解析用PC,②データ保存用HDD,③統計解析ソフト:Multivariate Software EQS6)および統計解析ソフトSPSSの購入に充てることを予定している.また,「旅費」に関しては,26年度予算計画の1つであった調査研究旅費と成果発表のための旅費(2回:8月,3月)を予定している.最後に,「人件費・謝金」および「その他」に関しては,申請書の通り,アンケート協力者への謝金,調査研究用通信費,文献複写費,英文校正費として使用する予定である.
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