2014 Fiscal Year Research-status Report
持久走パフォーマンス向上のための適切なダイナミックストレッチングプロトコルの確立
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26750273
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| Research Institution | Rakuno Gakuen University |
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Principal Investigator |
山口 太一 酪農学園大学, 農食環境学群, 准教授 (40438362)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | ストレッチング / ウォームアップ / ランニング / パフォーマンス / 陸上競技 / 中長距離種目 / 運動効率 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
昨今持久走前のダイナミックストレッチング（DS）の実施が推奨されているものの，DSが持久走パフォーマンスに及ぼす急性の影響は明確ではない．先頃我々は動作速度の速い10回×1セットのDSのみの実施による持久走パフォーマンス改善効果を明らかにした（Yamaguchi et al., in press）．ただし当研究のDSの方法（動作速度，回数，セット数）が持久走パフォーマンス改善により適していたかについては検討の余地が残る．また我々は一般的なウォームアップ（W-up）で実施されるストレッチング前の走運動を実施していなかった．そこで本研究ではまずDSの動作速度に着目し，速いないし遅いDSを用いて走運動W-up後のDS実施が持久走パフォーマンスに及ぼす急性の影響を明らかにすることとした．中長距離選手8名が以下の3処置を別日に施行し，最大酸素摂取量（VO2max）の90%相当速度のトレッドミル走運動を疲労困憊に至るまで遂行した．処置は70%VO2max相当速度の15分の走運動後に1）速いDSを実施するW-up + fast DS処置，2）遅いDSを実施するW-up + slow DS処置，3）安静を保持するW-up処置とした．両DS処置では両脚の5筋群（股関節伸展筋群，屈曲筋群，膝関節伸展筋，屈曲筋群，足底屈筋群）において2秒に1回のペースで10回のDSを1セット実施した．走運動パフォーマンスは運動継続時間を以て評価した．W-up + fast DS処置の運動継続時間（640.6±235.6秒）は，W-up処置のそれ（760.6±266.3秒）に比し有意に（p<0.05）短縮し，W-up + slow DS処置のそれ（660.4±282.4秒）も短縮傾向であった．よって，本研究で実施した走運動後の動作速度の速い10回×1セットのDSは持久走パフォーマンスを悪化させることが示唆される．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では本年度はダイナミックストレッチング（DS）の「適切な実施回数」に焦点を当て持久走パフォーマンスに及ぼす急性の影響を検討する予定であった．しかしながら，「適切な実施回数」よりも「適切な動作速度」の方が先に明らかにすべき優先課題であると考え，検討の順序を変えて研究を遂行した．また，当初計画ではDS前に走運動のウォームアップ（W-up）を実施する予定はなかった．ところが，実際の持久走前にはストレッチング前に走運動のW-upが行われている事実を考慮し，DS前に推奨されている強度の走運動W-upを実施した．その結果，走運動W-upに加え，動作速度の速い10回×1セットのDSを実施したことで，先頃の我々の研究（Yamaguchi et al., in press）で得られた同方法のDSのみの実施による持久走パフォーマンス向上効果とは相反する持久走パフォーマンスの低下が確認された．したがって，現在までは本研究の主たる目的である持久走パフォーマンス向上ための適切なDSの方法を明らかにすることを達成できているとは言えない．しかしながら，本研究の目的は達成できていないものの，新しい知見が得られるとともに，今後の課題も抽出された．これらのことから，研究の進度としては順調に進展していると判断した．そのため②に該当すると考えた．
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| Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究において，本研究の目的である持久走パフォーマンス向上ための適切なダイナミックストレッチング（DS）の方法を明らかにすることとは相反する走運動ウォームアップ（W-up）および動作速度の速いDSの実施による持久走パフォーマンスの低下を確認した．しかしながら，現在までの研究では走運動W-upおよび動作速度の速い10回×１セットのDSの直後に持久走パフォーマンス測定を開始した．また，我々の先行研究（Yamaguchi et al., in press）では走運動W-upを実施しなかったことで同方法のDSの実施による持久走パフォーマンスの向上効果を確認している．よって，今後は走運動W-upおよびDS後の休息の時間をコントロールしたり，そもそもDS前に走運動W-upが必要か否かについても再検討し，より良い持久走パフォーマンス発揮を実現するためのDSの方法を明確化していく．平成27年度については，走運動W-upを行わずにDSのみを実施する条件設定，ならびに走運動W-upおよびDSを実施し，その後の休息時間をコントロールする条件設定を行い，走運動W-upの有無ならびに，休息時間の有無あるいは長短が走運動パフォーマンスに及ぼす急性の効果を明らかにすることを目的に研究を遂行する．具体的には，中長距離選手10名程度を対象に走運動走を実施せずにDSのみを実施する処置，走運動W-up後にDSを実施し，その後休息をおかない処置ならびに5分および10分の休息をおく処置の計4処置のもと、本年度同様，最大酸素摂取量の90％相当強度の走運動をトレッドミル上で実施し，運動継続時間ならびに運動効率を計測する．なお，DSの方法は，先行研究で持久走パフォーマンスの向上効果が確認された下肢筋群における動作速度の速い10回×1セットとする．
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| Causes of Carryover |
研究遂行上問題はなかったものの，本年度は予定していた被験者数よりも1名減で実験を実施した．そのため，被験者1名分の謝礼金支出予定額の支払いがなされず，次年度使用額が生じた．
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
まずは，消耗品である呼気ガス分析装置に係るフェイスマスク（1,800円/個）を直接経費より支出し，追加購入する計画である．また，各被験者の謝金を本年度同様1実験当たり3,000円とし，10名に対し最大酸素摂取量の測定も含めた5回分に当たる150,000円を直接経費から支出したい．さらに，得られた結果は国内学会で報告する．そのため学会大会参加費用20,000円を直接経費より支出したい．加えて，得られたデータをもとに執筆した論文を英文誌に投稿し，掲載を目指す．そのため英文校正，投稿料および掲載された際の別刷購入等にかかる費用40,000円程度を直接経費より支出したい．
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Research Products
(6 results)
