2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26750280
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
佐藤 佑介 日本大学, 商学部, 准教授 (00559536)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 体操 / とび1回ひねり / 眼球運動 / 眼球と頭部の協応運動 / 空中感覚 / EOG法 / 視覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、体操選手がその場でのとび1回ひねり遂行中に行う眼球と頭部の左右方向の回転運動を測定し、両者の協応運動の実体を明らかにするものである。EOG法(Electro-oculography)により測定される眼球運動と動作分析により算出される頭部の回転角度を加算することにより視線の方向を推定し、体操選手が空中にて1回ひねる間にどのように視覚系の活動を展開しているのかを検討する。 体操競技の指導書において、選手の演技中の視線の方向を指示しているものはあるが、それを客観的に示すデータはほとんど提示されていない。とび1回ひねり遂行中の眼球と頭部の協応運動を明らかにすることによって、体操選手が実際に行っている視覚系の活動に関わるデータを提示することは、競技力向上を目指したトレーニング法の開発等へと展開される可能性をもつ。 平成26年度は、以下の4つの実験を行った。1. 熟練した体操選手を実験参加者とし、体操選手がとび1回ひねり遂行中に行う眼球と頭部の左右方向の回転運動を測定した。2.跳躍の高さがその協応運動に及ぼす影響を検討するため、トランポリンを用いてとび1回ひねり遂行中の協応運動の測定を試みた。3.体操競技を行ったことがない者と体操選手の協応運動を比較するため、体操競技を専門に行ったことがない者を実験参加者とし、1.の実験を行った。4.ジュニア選手の協応運動の特徴を明らかにするため、ジュニア体操選手を実験参加者として、1.の実験を行った。 すでに1.と3.の実験データの分析を終え、体操選手がとび1回ひねりを行っている間に用いるいくつかの視線移動パターンを明らかにした。また、体操選手と体操競技を専門的に行っていない者では、着地前に視線を安定させるタイミングが異なることなど、体操選手の空中での視覚系活動を考えるうえで、興味深い知見が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、体操選手がとび1回ひねり遂行中に行う眼球と頭部の左右方向の回転運動を測定し、両者の協応運動の実体を明らかにするための実験を行った。データの分析も行い、「体操選手が行うその場でのとび1回ひねり遂行中の眼球運動と頭部の協応運動の実体」について、新しい知見を得るに至っている。その結果は、すでに日本心理学会第78回大会や日本体操競技・器械運動学会第 28 回大会において発表された。さらに、それらのデータについて、国内外の研究者と議論を行うことによって、論文発表に向けた課題等を明確にすることができた。 予定していた実験が想定通り行うことができた一方で、そのデータ分析には想定以上に時間を必要とすることがわかった。そのため、平成27年度に行う予定であったすべての実験を平成26年度に行い、平成27年度はデータ分析と研究成果の発表を行う計画へと変更した。現在、予定していたすべての実験を終え、それらのデータ分析とともに研究成果発表の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
「体操選手が行うその場でのとび1回ひねり遂行中の眼球と頭部の協応運動の実体」について、予定通りに研究を進めることができた一方で、そのデータ分析には想定以上に時間を必要とすることがわかった。そこで、予定していたすべての実験(「跳躍の高さが眼球と頭部の協応運動に与える影響」、「体操競技経験のない者の協応運動の実体」、「ジュニア体操選手における眼球と頭部の協応運動の実体」)を平成26年度に行い、平成27年度にはそのデータ分析を行う計画へと変更した。 平成26年度には、熟練した体操選手がとび1回ひねり遂行中に2つの視線移動パターンを行うことが明らかになった。これらの結果に基づき、体操競技を経験したことのない者のパターンとの比較検討を中心に進めることで、体操選手の視覚系活動についてさらに検討を進める。将来的には、2つのパターンのどちらが体操選手のパフォーマンスにとってより良い視覚系活動であるかについても検討を行う。
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