2015 Fiscal Year Research-status Report
運動によるミトコンドリア生合成および血管新生におけるリゾリン脂質の役割の解明
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26750303
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
川西 範明 順天堂大学, その他の研究科, 日本学術振興会特別研究員 (00706533)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リゾリン脂質 / 運動 / 骨格筋 / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
リゾリン脂質は細胞増殖や血管新生などの生理作用を有することから、持久的運動による骨格筋の適応にもリゾリン脂質が関与する可能性が考えられる。しかしながら、持久的運動によるリゾリン脂質の変動については未だ不明瞭である。そこで、平成27年度は持久的運動により骨格筋中および血液中で変動するリゾリン脂質の探索を行った。具体的には、マウスに中強度の持久的走行運動を負荷して、運動直後、運動6時間後および24時間後に血液および骨格筋組織を採取した。血漿および骨格筋組織から脂質成分を抽出した後に、高速液体クロマトグラフ質量分析計を使用して、各リゾリン脂質分子種の濃度を測定した。その結果、持久的運動直後に骨格筋組織中で特定の脂肪酸を含有するリゾホスファチジン酸が増加することが示された。また、リゾホスファチジルコリンおよびリゾホスファチジルエタノールアミンは、運動後経時的に骨格筋組織中および血漿中で特定の脂肪酸を含有する分子種の濃度が増加することが示された。以上の結果から、持久的運動は骨格筋中および血液中のリゾリン脂質の濃度を変動させることを見出した。また、イメージング質量分析装置を使用して、骨格筋線維タイプでの脂質分子種の含有量の違いを検証するために、脂質分子種の局在を検討した。その結果、骨格筋でのリン脂質分子種の局在を明らかにすることができた。平成28年度は、運動により変動が観察されたリゾリン脂質分子種の生理作用についての検証を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高速液体クロマトグラフを用いたリゾリン脂質の測定法を確立して、持久的運動により変動するリゾリン脂質分子種を特定することができた。また、イメージング質量分析技術を導入して、骨格筋での脂質分子種の局在を検証を試みることできた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年は、持久的運動により骨格筋中で変動が観察されたリゾリン脂質分子種の生理作用を培養細胞実験により検証する。具体的には、リゾリン脂質分子種の刺激が骨格筋細胞のミトコンドリアの増殖および融合を促進するか否かを明らかにする。
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