2017 Fiscal Year Research-status Report
レジリエンスにおける注意機能の重要性に着目したトレーニング課題の構築
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26750322
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井隼 経子 九州大学, アドミッションセンター, 准教授 (70625946)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | レジリエンス / 時間的注意 / 注意バイアス / 注意の瞬き |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も昨年度までと引き続き,レジリエンスと注意機能の特性との関係について検討した。これまで,注意機能は空間的注意とレジリエンスとの関係を検討していたが,昨年度から引き続き,本年度は時間的注意との関係を検討した。課題には,注意の瞬き(attentional blink; AB) を用いた。こうした短期間の時間的注意とレジリエンスとの関係を調べることで,レジリエンスが高い者が感情処理 における感情情報の検出や短時間での再評価処理(Most & Junge, 2008)にどのような特徴を持っているのかを知ることができる。今回,ABの刺激として表情刺激(怒り,中性,笑顔)を用いた。 結果は,レジリエンスの尺度得点と怒り顔においてABマグニチュードとの間に有意な正の相関を示した。つまり,レジリエンスが低い者ほど不快刺激を見落としにくく,注意が向きや すかったことが示された。感情情報への注意バイアスは感情調整と関係しており,感情調整はレジリエンスにおける中核的な機能である(Tugade & Fredrickson, 2004)。また,不快な感情状態にある者や不快感情を普段から経験している者は,不快な感情情報への注意バイアスが生じやすい(Beevers & Carver, 2003; Bradley, Mogg, & Lee, 1997; Eizenman et al., 2003; Mogg, Mathews, & Eysenck, 1992)。したがって,レジリエンスの低い者は不快情報 に注意が向くことで不快な感情が喚起されやすく,その不快感情を調整できな いことでストレスからの回復が阻害されている可能性があることが示された。成果は感情心理学研究にて発表される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は,これまでの成果を論文にまとめ発表できるまでに至った。しかしながら,注意トレーニングの段階までには至らず,計画は遅れているといえる。これまでの研究成果を活かし,注意トレーニングとレジリエンスとの関係を検討するのが今後の目標である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,まだまとめていない研究成果の学会発表及び論文出版を行う。また,継続して,実験及びトレーニング課題の効果検討を行う予定である。それらの結果を,早い段階で論文発表する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は,本務の業務によって計画の最終段階まで進むことが出来ず,実験協力者謝金を使用しなかった。そのため,次年度に繰り越すこととなった。最終年度においては,トレーニング課題の実験実施による参加者謝礼及び,成果発表のための論文掲載費,英文校正費に使用する予定である。
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