2018 Fiscal Year Research-status Report
レジリエンスにおける注意機能の重要性に着目したトレーニング課題の構築
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26750322
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井隼 経子 九州大学, アドミッションセンター, 准教授 (70625946)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | レジリエンス / 時間的注意 / 注意バイアス / 注意の瞬き |
Outline of Annual Research Achievements |
引き続きレジリエンスと注意機能の特性との関係について検討している。注意機能は空間的注意に加え,時間的注意もレジリエンスと関連していることを証明した。注意の瞬き課題(Attentional Blink;AB)を用い,短時間における注意とレジリエンスとの関係を検討した。本課題では,刺激として表情刺激(怒り,中性,笑顔)を用いることで,高いレジリエンスの特性を持つ者が感情処理において感情情報の検出や短時間での再評価処理(Most & Junge, 2008) にどのような特徴を持っているのかを示した。 結果として,レジリエンスの尺度得点と怒り顔においてABマグニチュードとの間に有意な正の相関を示した。このことは,レジリエンスが低い者ほど深い刺激を見落としにくく,注意が向きやすいことを示す。このような感情情報への注意バイアスは感情調整と関係しており,感情調整はレジリエンスにおける中核的な機能であるため生じると考えられる(Tugade & Fredrickson,2004)。また,不快な感情状態にある者や不快感情を普段から経験している者は不快な感情情報への注意バイアスが生じやすい(Beevers & Carver, 2003など)。したがって,レジリエンスの低いものは不快情報に注意が向くことで不快な感情が喚起されやすく,その不快感情を調整できないことでストレスからの回復が阻害されている可能性があるといえる。 成果は,感情心理学研究及び基礎心理学会第35回大会,第9回Society for Tokyo Young Psychologistsにて発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は研究の中断があり,進捗としては遅れている状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
継続して実験及びトレーニング課題の効果検証,及び研究成果の学会発表及び論文出版を行う予定である。
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Causes of Carryover |
産休,育休のため,研究の中断が生じたため。使用計画については,これまでに行ってきた実験結果を取りまとめ,学会発表,論文執筆のための英文校正などに当てる予定である。また,更に実験を行う予定であるため,謝金として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)