2014 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷による麻痺筋不随意痙攣に伴う筋の機能変化に関する研究
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26750346
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Research Institution | Suzugamine Women's College |
Principal Investigator |
三木 由美子 鈴峯女子短期大学, その他部局等, 講師 (90726217)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 不随意痙攣 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄損傷者の日常生活における不随意痙攣に関する研究を行った。具体的には、1日に生じる不随意痙攣の強度、頻度および継続時間が麻痺筋肉量に及ぼす影響を明らかにした。 対象者は、成人男性の脊髄損傷者15名であった。そのうち、歩行可能な者をのぞいた13名の分析を行った(不随意痙攣のある者7名、不随意痙攣のない者6名)。筋量は、超音波弾性計測装置(MIZOUE PROJECT JAPAN製 MSDB04-ARM)により、大腿前面の皮下脂肪および筋の厚みを測定した。筋硬度は、超音波弾性計測装置(メカトロニクス社製 IES-5型)により大腿前面の皮下脂肪および筋の変位量を計測した。また、不随意痙攣のある対象者には、加速度計(マイクロストーン社製 MVP-RF8-GC-2000)を用いて不随意痙攣の強度を測定した。測定の際、対象者には不随意痙攣が最も強く起こる動作を実行させた。1日に生じる不随意痙攣については、質問紙調査を行った。なお、不随意痙攣の強度については、加速度計で測定した強度を“5”とし、主観により1~5の5段階で評価させた。加えて、1日を通して起きたレベルごとの不随意痙攣の回数および平均継続時間を回答してもらった。質問紙調査の結果と実際に測定した強度の相対値から1日に生ずる不随意痙攣の総量を推定した。 その結果、不随意痙攣の有無は、麻痺筋肉量に影響を及ぼしていることが明らかとなった。また、筋硬度についても同様の結果が得られた。一方、1日に生じる不随意痙攣の総量は、麻痺筋肉量や筋硬度との間に有意な相関関係が認められなかった。さらに、不随意痙攣のある群で、麻痺筋肉量は年齢と有意な相関が認められた。 これらのことから、脊髄損傷者の麻痺筋肉量については、1日に生じる不随意痙攣の総量は影響を及ぼしておらず、不随意痙攣の有無や損傷からの年数が関係していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目的は、日常生活における不随意痙攣と筋量との関係を明らかにすることであった。具体的には、下肢に不随意な痙攣がある脊髄損傷者の下肢の筋活動を筋電図を用いて記録し、1日に生じる痙攣の頻度および持続時間を測定することであった。また、記録した筋電図の振幅や積分値から1日に生じる痙攣の強度を推定することであった。同時に、筋のMRI撮影から筋量を断面積として求め、不随意痙攣と筋量の関係を明らかにすることであった。 対象となる脊髄損傷者の生活状況や身体状況および不随意痙攣の特性により、筋量の測定方法および1日に生じる不随意痙攣の推定方法を変更したが、当初の目的通り、1日に生じる不随意痙攣の総量と麻痺筋肉量との関係が明らかになったことから、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、不随意痙攣を有する脊髄損傷者の筋活動と損傷からの年数との関係を明らかにしていく。具体的には、損傷からの年数を3、5、10および20年未満と区切り、神経刺激あるいは、直接の筋電気刺激により筋活動を記録する。これらのことから、麻痺筋の筋活動量と損傷からの年数との関係を明らかにする予定である。初年度と同様に、対象者の生活状況や身体状況および不随意痙攣の特性に十分に注意し、必要に応じて測定方法を変更したり調整したりしながら実施する。
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Research Products
(1 results)