2014 Fiscal Year Research-status Report
Ziziminファミリー遺伝子を介した免疫老化機構の解明
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26750350
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
松田 剛典 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 老化機構研究部, 流動研究員 (30646477)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Zizimin2 / B細胞 / 加齢 / 免疫 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、Zizimin2(Ziz2)やZizimin3(Ziz3)の生体内における機能を明らかにする為に、Ziz2またはZiz3遺伝子欠失(KO)マウスの解析を行った。 まず、骨髄や脾臓におけるB細胞の形成をフローサイトメトリーに依り解析した。その結果、骨髄B細胞(B画分)の数が両KOマウスで低下していた。さらに、Ziz2KOマウスでは、辺縁帯B細胞の割合が野生型に比べて有意に低下していた。辺縁帯B細胞の局在を調べた所、Ziz2KOマウスでは、その厚みが顕著に薄くなっていた。辺縁帯B細胞と同様の働きを有するB1a細胞については、両KOマウスで有意な変化は検出されなかった。 免疫応答については、NP-CGG(T細胞依存的)やTNP-LPS(T細胞非依存的)やTNP-Ficoll(T細胞非依存的)を用いて解析したが、野生型マウスに対して有意な差は検出されなかった。 次に、若齢または高齢マウス脾臓内に存在するB/DC/NK/T細胞をフローサイトメトリーで解析・単離した。その結果、BならびにT細胞の数が加齢に依り低下していた。さらに、B細胞内においては、加齢に伴ってZiz2の発現量が低下していた。 骨髄B細胞の形成不全に関しては、Ziz2とZiz3がCdc42の機能に関与している可能性が考えられた。また、脾臓辺縁帯B細胞の形成不全に関しては、in vitroにおける増殖活性や遊走能力において野生型との間に有意な差は検出されなかった。しかし、その局在が変化していた事から、Ziz2は、辺縁帯B細胞の辺縁帯への局在を正に制御すると考えられた。 B細胞内におけるZiz2の発現量が加齢に伴って減少し、辺縁帯B細胞の形成が抑制され、高齢個体における感染症への免疫力が低下すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した年次計画の全てを実施し、さらに、次年度の計画に組み込まれていた計画の一部も実施する事ができた。 これらの事から、当初の計画以上に進展していると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の研究結果より、Ziz2が骨髄B細胞ならびに辺縁帯B細胞の形成に関与すると考えられた。しかし、一般的な抗原に対する免疫応答では、野生型とKOマウスとの間に有意な差は検出されなかった。辺縁帯B細胞に関しては、肺炎球菌等への感染に重要な働きを有している事が知られている事から、今後は、肺炎球菌の感染実験を実施し、Ziz2発現量の加齢に因る低下の、肺炎球菌への罹患率上昇ならびに重症化への関与を明らかにすべきだと考えている。また、辺縁帯B細胞内におけるZiz2の発現量が加齢に伴って低下するかどうかに関しては、若齢と高齢マウスを用いて明らかにすべきだと考えている。 さらに、辺縁帯B細胞と同様の働きを有する腹腔内B1a細胞の割合に関しては、Ziz2またはZiz3KOマウスにおいて、野生型マウスに対して減少する傾向が見られたが、有意な差は検出されなかった。この点に関しては、Ziz2とZiz3が共通の機能を有している可能性が考えられた為、両方の遺伝子を欠失させたマウスを作製し、さらに詳しく解析しようと考えている。 一方で、Ziz2の会合分子の探索に関しては、より簡便に『高齢個体の免疫細胞におけるZiz2の発現制御』を達成すべく、別の実験を考えた。というのも、我々が昨年度に取り組んだ実験の結果、翻訳レベルよりも転写レベルでZiz2の発現量が加齢に伴って低下している事が確認された為である。この結果より、Ziz2の転写制御機構を明らかにする事で、例えば、高齢個体内において辺縁帯B細胞の形成を促進する事も可能となると考えられた。現在我々は、Ziz2の転写制御領域の絞り込みを開始しており、既に転写開始点の上流約500bpの領域に転写を促進する領域があるという結果を得ている。今後は、その領域を狭めていくと共に、その領域に結合しZiz2の転写を活性化する転写因子を同定したいと考えている。
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Causes of Carryover |
海外学会での発表に関して、他機関より2件の渡航費用の助成を受けた。 その関係で次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度において研究が進展した為、本年度は、 申請書には記載していなかった研究を行う必要性があり、 そちらの実験で使用する予定である。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Rhof promotes murine marginal zone B cell development2014
Author(s)
Kishimoto M, Matsuda T, Yanase S, Katsumi A, Suzuki N, Ikejiri M, Takagi A, Ikawa M, Kojima T, Kunishima S, Kiyoi H, Naoe T, Matsushita T, Maruyama M
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Journal Title
Nagoya Journal of Medical Science
Volume: 76
Pages: 293-305
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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