2016 Fiscal Year Research-status Report
ドイツにおける匿名の母子支援と赤ちゃんポストに関する研究
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26750355
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Research Institution | Chiba Keizai College |
Principal Investigator |
柏木 恭典 千葉経済大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (80461771)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 赤ちゃんポスト / 匿名の母子支援 / 内密出産 / 匿名出産 / ドイツ / 児童福祉 / こども学 / こうのとりのゆりかご |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「ドイツにおける匿名の母子支援と赤ちゃんポストに関する研究」の三年目は、これまでの研究を引き継ぎつつ、ドイツの新たな動向を踏まえて、匿名の母子支援の理論的・実践的な研究を行った。2016年4月には、『名前のない母子をみつめて-日本のこうのとりのゆりかご ドイツの赤ちゃんポスト』を上梓し、これまでの研究をまとめ、本研究者の見解を含め、公表した。 2016年度は、主に「内密出産法」制定以後のドイツの議論を追いつつ、今なお100か所弱存在する赤ちゃんポスト(BABYKLAPPE)の現状を捉えるとともに、支援団体とのコンタクトも取り続けた。ドイツの支援者たちの見解もまた、上記した書籍において翻訳することもできた。国内においても、本研究に関心をもつ人・団体も増え、先駆的な研究として、一定の成果を収めたと言ってもよいだろう。 これらの成果は、論文「緊急下の母子への匿名支援 ―ドイツの赤ちゃんポストと内密出産の議論を踏まえて―」(『医療と社会』27巻1号、2017年5月刊行予定)としてまとめた。 また、宗教倫理学会の公開シンポジウムにおいても、「赤ちゃんポスト研究の最前線」という題目で講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に作成した研究実施計画に基づいて、その通りに研究を継続できている。また、その研究成果についても、論文、書籍を通じて発表できている。ただ、教育学的な言説を生み出すまでには至っていないので、この点については今後の課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、この四年間の研究活動を総括することを目指すために、より学術的な努力をより一層強めていくつもりである。本研究は、社会的な意味では、赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)の理解を深めるために、一定の貢献は果たしたと思われる。だが、この研究の根本的な問題は、今なお、描き切れているとは思えない。ゆえに、この点について一層踏み込んで研究を続けるつもりである。 具体的には、ドイツ語圏での学術的な言説をより厳密に捉え、かつ教育学・こども学的な見解をきちんと示しながら、本研究の総括を果たしていきたい。
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Causes of Carryover |
本研究にかかった費用が予算より下回ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4年目となる本研究の総括のために使用する予定である。
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