2014 Fiscal Year Research-status Report
コミュニティを基盤にした子どもの公共空間と子ども施策の検討
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26750356
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Research Institution | Uekusa Gakuen Junior College |
Principal Investigator |
田村 光子 植草学園短期大学, 福祉学科, 准教授 (30532494)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社会福祉関係 / 子ども / 公共空間 / 社会環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、子どもの公共空間の必要性に関する実践的検討、および海外事例からの子どものための公共空間に必要な視点の検討を進めた。 実践的検討では、千葉市の子どもの居場所「こどもカフェ」の実践経過から、現代の子どもたちが抱える社会的課題、および実際に子どもがおかれている子育て環境の課題を検討した。来所する子どもたち自身の意見を抽出することを通して、都市において子どもたちの成育環境に多くの制限があること、また現代社会において、大人と子どもの生活が明確に分離できない状況となっていることを見出した。こうした状況について、千葉市が開催する公開講座および、他市の子育て支援講座等において発表した。 また、海外事例からの検討では、8月初旬に、ドイツ・ミュンヘン市を訪問し、こどものまち(ミニ・ミュンヘン)に参加した。また、本プログラムの創設者に面会し、インタビューを行った。ミニ・ミュンヘンでは、プログラムの状況を観察するとともに、プログラム「ORIGAMI」にて実際にドイツの子どもたちのプログラムに参加する体験を得た。体験の成果について、帰国後8月中旬に実施展開された「こどものまちCBT」の保護者向けプログラムにおいて報告した。 さらに、海外事例の検討では、スコットランド・グラスゴー市を訪問し、子ども・若者へのコミュニティにおける貧困対策プログラムを展開する団体の紹介をうけ、スタッフへのインタビューを行った。また、研究協力者のスイス人研究者と面会し、平成27年度における研究内容について助言を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実施計画では、2年間の研究期間を設け、コミュニティを基盤にした子どものための公共空間の意義と、あらたな子ども施策の必要性を明らかにするために、今年度は「子どもの公共空間の必要性に関する実践的検討」「海外事例からの子どものための公共空間に必要な視点の検討」「子どもたちの社会状況、子育て環境の把握」の3つのテーマに焦点を絞って研究を進める予定であった。研究実績概要にも示したとおり、「子どもの公共空間の必要性に関する実践的検討」および「海外事例からの子どものための公共空間に必要な視点」についてはおおむね順調に研究を進めてきた。 「子どもの社会状況、子育て環境の把握」については、アンケート調査を実施する予定であったが、アンケート調査の概要や規模を検討する中で、調査処理に関する費用が今年度の経費では不足することから、来年度に調査を延期することとした。調査内容については、実践的検討より、都市において子どもたちの成育環境に多くの制限があること、また現代社会において、大人と子どもの生活が明確に分離できない状況となっていることを見出していることから、こうした視点を踏まえて、27年度予算においてアンケート調査を実施する予定である。27年度予算の中で、海外視察をしないことから、アンケート調査実施は予算範囲内で可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、前年度の経過から不足している事項について研究を補うとともに、研究結果も踏まえて総合的考察を実施することを目的としている。 まず、平成26年度に引き続き「子どもの公共空間の必要性に関する実践的検討」を図る。この実践的検討にあたっては、「こどもカフェ」および子どもの居場所の実施団体に連携協力を得ながら研究を進めていく。 また、前年度から繰り越したアンケート調査・分析を実施し「子どもの社会状況、子育て環境の把握」について検討を図る。研究開始時の予定では、平成27年度においても平成26年度に引き続き、海外視察を予定していたが、平成27年度は海外視察をせず、国内事例の視察・検討をすすめていく。海外視察から国内事例視察への転換によって、アンケート調査の実施・分析に必要な経費に予算をあてていきたいと考えている。 国内事例の視察・検討においては、現在、千葉市以外の他地域において「子どもの参画」を実践する団体および支援者とともに研究会を展開していることから、こうした団体および支援者の協力を得て進めていく。 このような経過から、平成26年度、27年度の研究結果を踏まえて総合的考察を行う。特に現代の子どもの「疎外感」や「生きづらさ」を補う居場所、ならびに「子どもの参画」を視点にした子どもの力をエンパワーする公共空間の必要性について検討しながら、コミュニティを基盤にした子どものための公共空間の必要性について提示することを目標とする。
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Remarks |
田村光子、ちばオピニオン私論直言「緩やかに社会へつなぐ支援を」、『千葉日報』、2015、1、18、10面.
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