2017 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of the role of sEH and ER stress in SMTP-7-mediated improvement of fatty liver diseases
Project/Area Number |
26750362
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
鈴木 絵里子 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00468513)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 抗炎症 / SMTP / 可溶性エポキシドハイドロラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
真菌Stachybotrys microspora由来の生理活性物質SMTPは、線溶促進活性と抗炎症活性とを併せ持ち、当研究室にて保有するN側鎖構造の異なる約60種類の同族体の内の一つは、現在脳梗塞を対象に臨床第二相試験が進行中である。近年我々は、SMTPの優れた抗炎症活性の主要メカニズムとして、炎症関連酵素soluble epoxide hydrolase(sEH)阻害を明らかにした。sEHは、C末端に脂質エポキシドハイドロラーゼ活性(C-EH)、N末端に脂質リン酸ホスファターゼ活性(N-Phos)を有する2機能酵素であり、両者は互いにアロステリックに影響し合う。マウスへのSMTP長期投与後、肝臓における遺伝子発現変動をDNAマイクロアレイにより解析したところ、SMTP投与がsEHKOマウスと共通した機序で遺伝子発現誘導を行うことが示された。共通して顕著な発現上昇を認めた遺伝子の非階層クラスタ―解析の結果、共通するメカニズムとして、①IL-6の下流で制御を受けること、②概日リズムに関与する遺伝子が発現上昇することが挙げられた。一方で、近年、神経系の交感神経作動が免疫細胞の動態を制御し、炎症制御を担うことが明らかになっているが、これには炎症誘導タンパク質の発現を相乗的に誘導する機構“IL-6アンプ”が密接に関わる。そこで次に、アドレナリン受容体を介した交感神経作動による炎症制御機構に着目した。SMTP投与によるIL-6産生に対するアドレナリン受容体(a, b AR)の各種agonist, antagonistによる影響を検討したところ、SMTP-7投与により誘導される血中IL-6産生はいずれの受容体サブタイプのagonistによっても促進されたが、b2 AR antagonistによってのみ、SMTPによるIL-6産生の抑制を認めた。即ち、b2 ARの下流の経路が、SMTP-7/sEH阻害を介してIL-6の下流で抗炎症活性をもたらす機序に共通したものであることが示唆された。
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