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2014 Fiscal Year Research-status Report

癌組織中レクチンの糖鎖特異性を直接同定する手法の開発

Research Project

Project/Area Number 26750364
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

下山 敦史  大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90625055)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2016-03-31
Keywords糖化学 / 糖鎖 / リポ多糖 / がん / 免疫
Outline of Annual Research Achievements

糖質分子は、細胞表層受容体を介し、細胞間の情報伝達や免疫、感染症など生体内における様々な認識に関わり、がんや炎症など様々な疾患に関連する。また、近年、糖鎖が糖タンパク質の体内動態を制御することが明らかになりつつあるが、その詳細は明らかではない。
本研究では、糖質分子とレクチンなどの認識受容体との相互作用を利用することで、特定の臓器やがん組織、炎症部位へのターゲティングが可能となると考え、人工糖質分子プローブを用いた細胞の特異的認識システムの構築を目指している。しかしながら、一般に糖鎖とレクチンの相互作用は大変弱いことが知られる。生体内において、多くの糖鎖は、クラスターを形成することによって相互作用を増強しているため、糖質分子をリポソームやデンドリマー、ナノ粒子等の担体に導入することによって、人工的にクラスター環境を再構築し、様々な細胞との親和性をフローサイトメトリー等により評価することとした。
生体内糖質分子の多くは不均一であり、構造の本質的な意義を評価するためには、化学合成により均一なものを構築する必要がある。クラスターへの導入を試みる糖質分子リガンドとして、末端シアル酸の有無により糖鎖を付加したタンパク質のがんへの局在が大きく変化する事例が報告され、がん特異的レクチンにより認識を受けている可能性を有するN-結合型糖鎖の非還元末端構造(Neu5Acα2-6Galβ1-やNeu5Acα2-3Galβ1-)および、がんの転移能に深く関与するバイセクティングGlcNAc構造、さらには、受容体であるTLR4の大腸がん、乳がん、胃がんなどへの発現が報告されているリポ多糖の部分構造を予定している。現在、N-結合型糖鎖の合成に取り組み、バイセクティングGlcNAc構造を含む8糖の骨格構築が完了している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

糖質分子は多様で複雑な構造を有するため、その化学合成は容易ではなく、また、その構造の不均一さから天然からの単離精製も困難であるため、その機能解明は十分には進んでいない。本研究では、特定の臓器やがん組織、炎症部位へのターゲティングを可能とする糖質分子プローブの開発を目指している。具体的には、生体内で多様かつ重要な役割を果たしているアスパラギ結合型糖鎖 ( N-結合型糖鎖 )および、その分枝マンノースにバイセクティングGlcNAc構造を有するバイセクティング型糖鎖、受容体であるTLR4のがん細胞への発現が報告されているリポ多糖の部分構造を合成し、これらの細胞に対する特異的認識能の評価を行う。現在までに、N-結合型糖鎖の非還元末端構造(Neu5Acα2-6Galβ1-やNeu5Acα2-3Galβ1-)および、がんの転移能に深く関与するバイセクティングGlcNAc構造を有する8糖の合成を試みた。GlcNAcとManからなる4糖フラグメントへ2糖フラグメントを2度のグリコシル化により連結する収束的な合成ルートを採用し、現在までに、8糖の骨格構築が完了している。

Strategy for Future Research Activity

糖質分子リガンドの合成が完了した後、リポソームやデンドリマー、ナノ粒子等の担体への導入を行い、細胞との親和性の評価をフローサイトメトリー等により行うことで、特定の細胞・組織に対する特異的認識能を有した糖質分子構造の同定を目指す。

Causes of Carryover

平成26年度に計上した予算のうち、1万円ほどを未使用分として平成27年度へ繰り越させていただく。これは、主にその他として計上していた分析依頼費用が予定より抑えられたためである。繰り越し分は、平成27年度の有機合成試薬の購入費用へと当てさせていただく。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成27年度の予算全体の使用計画としては、有機合成で日常的に使用し、糖鎖ミミック分子の合成を達成する上で必要不可欠である有機溶媒と反応試薬類などを有機合成試薬として計上した。使い捨てのパスツールピペット、バイアル管や比較的良く破損するカラム管、NMR管などのガラス器具類も本研究の目的達成に必要であり、ガラス器具としてまとめて計上した。また、合成化合物の精製に日常的に使うシリカゲル充填剤、純水カートリッジなども本研究で必要になるため精製分離消耗品として計上した。同様な理由で、NMR重溶媒やスペクトル用の溶媒類は機器分析消耗品として計上した。

  • Research Products

    (5 results)

All 2015 2014 Other

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Effective Synthesis of Oligosaccharide under Microfluidic Conditions2015

    • Author(s)
      Koichi Fukase, Atsushi Shimoyama, Yoshiyuki Manabe
    • Journal Title

      J. Syn. Org. Chem. JPN.

      Volume: 73 (5) Pages: 452-459

    • DOI

      http://doi.org/10.5059/yukigoseikyokaishi.73.452

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Bioorthogonal Reactions for Biomolecular Functionalization and Imaging2014

    • Author(s)
      Atsushi Shimoyama
    • Journal Title

      J. Syn. Org. Chem. JPN.

      Volume: 72 (3) Pages: 303-304

    • DOI

      10.5059/yukigoseikyokaishi.72.303

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 酸性シリカゲルを用いたフロー系でのフィッシャーグリコシル化2015

    • Author(s)
      増井誠二、真鍋良幸、下山敦史、福山高英、柳日馨、深瀬浩一
    • Organizer
      日本化学会第95春季年会
    • Place of Presentation
      日本大学、理工学部船橋キャンパス
    • Year and Date
      2015-03-26 – 2015-03-29
  • [Presentation] 糖質を用いたがん組織のイメージング手法の開発2015

    • Author(s)
      下山敦史
    • Organizer
      第17回生理活性をあまり意図しない自由な天然物合成勉強会
    • Place of Presentation
      阪急大井町ガーデン
    • Year and Date
      2015-02-28 – 2015-03-01
  • [Remarks] 大阪大学 大学院理学研究科 化学専攻 深瀬研究室

    • URL

      http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/fukase/index.html

URL: 

Published: 2016-06-01  

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