2014 Fiscal Year Research-status Report
味覚受容体の生化学的解析および機能抗体作製に向けた基盤技術の開発
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26750365
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
竹田 浩之 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 助教 (40609393)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 味覚受容体 / コムギ無細胞合成 / GPCR / プロテオリポソーム / 抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
旨味受容体と甘味受容体を構成するT1R1, T1R2, T1R3の3種のGPCRのコムギ無細胞系発現ベクターを構築した。リポソームを添加した透析重層法を用いてT1Rを合成し、遠心法で粗精製を行った。いずれのT1Rも合成効率は0.8 mg / mL コムギ胚芽抽出液で、免疫に必要な数mgの抗原調製に十分な生産性が得られた。 5mgのT1R3を合成し、ウサギに免疫した。ISAAC法を用いて抗体産生細胞を回収し、抗体遺伝子を単離した。発現ベクターに抗体遺伝子をサブクローニングし、培養細胞で抗体を発現させた。発現させた抗体のスクリーニングを行った結果、2クローンの抗体がT1R3に結合することを確認した。エピトープマッピングを行ったところ、2クローンともT1R3の細胞内C末端領域に結合することがわかった。 一方で1mgのT1R1を合成し、マウスに免疫した。免疫マウスの脾臓からハイブリドーマを作成した。ハイブリドーマ培養上清の抗体スクリーニングを行った結果、T1R1に特異的に結合する2クローンの抗体を得た。エピトープマッピングを行ったところ、2クローンともT1R1のN末細胞外ドメインに結合することがわかった。 細胞を用いた味覚受容体評価法について、カルシウムイメージング法を東京大学三坂研究室に教わり導入した。T1R1細胞外領域結合抗体の生理活性評価を今後実施する予定である。 無細胞合成した甘味受容体と甘味タンパク質であるソーマチンおよびブラゼインの結合をAlphaScreenおよびビアコアを用いて試験したが、甘味タンパク質の非特異的な結合により、受容体への特異的な結合は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
味覚受容体タンパク質の大量合成系の構築に成功し、予定より早く抗体作製にとりかかることができ、すでに4抗体の取得に成功した。一方で、無細胞合成受容体のリガンド結合や二量体形成の試験管内再構成については十分評価できていないが、アッセイ系の構築や技術導入などは積極的に検討している。そのためおおむね順調であると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度に取得できた抗体の性状解析を中心に研究をすすめる。特に細胞外領域に結合する抗体が取得できたT1R1の解析を中心に行う。 一方で、T1R3については細胞外領域に結合する抗体は取得できていないので、より積極的に細胞外領域認識抗体を取得するための抗原デザインに取り組む。T1R3またはT1R2の細胞外領域のみから構成された人工抗原の作製を試みる。 無細胞合成T1Rの性状解析は引き続き取り組む。得られた抗体の生理活性評価は最終的に細胞系を用いて評価する予定である。
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Research Products
(3 results)