2015 Fiscal Year Research-status Report
免疫調節薬IMiDsにおける抗がん活性の分子機構の解明
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26750374
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 拓水 東京医科大学, 医学部, 講師 (30533179)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | IMiDs / サリドマイド / セレブロン / 急性骨髄性白血病 / ユビキチンリガーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究計画に基づき、薬剤IMiD A1の誘導するCRBN基質たんぱく質X1の解析をさらにつづけ、またほかのIMiDsの基質候補解析も行った。X1がIMiD A1の薬効を担う真の標的であることを証明するためにCRBN非結合型X1変異体の作成を試み、最終的に一か所のアミノ酸をアスパラギンに置換するだけでCRBN結合能を失った変異体作成に成功した。この変異体を細胞に発現させ、IMiD A1を処理したところ、増殖阻害効果が抑制されることが判明した。よってIMiD A1の効果はX1の分解を解することが証明された。 次に、IMiD A1にsensitiveに効くがん細胞の探索を行った。結果として急性骨髄性白血病(AML)細胞株においては、数十~百pico molarで増殖抑制効果を発揮することが判明した。 AML細胞株においてCRBNをCRISPR/Cas9でノックアウトしたところ、IMiD A1耐性になり、またCRBN非結合型X1変異体を発現させたAML細胞においてもA1耐性になっていた。以上より、IMiD A1はAML治療に有効であることが期待され、かつタンパク質X1を新たなAML治療における新薬標的として見出すに至った。そして、X1は幸運にも結晶化が報告されていることから、構造生物学的研究も実施することができ、CRBN-DDB1-A1-X1の複合体の解析にも着手するに至った。並行してPomalidomideおよびLenalidomideやさらに次世代のIMiDsでCRBN結合が誘導される基質候補X4の解析を行った。大変興味深いことに、X4はIMiDs依存的にCRBNに結合するが、分解されることはなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究は非常に進展している。本年度で、もはやIMiDs A1がAMLに効果があることや、それが基質X1を分解することにより引き起こされることが証明できたので想定をはるかに超える大変な前進である。またX4はIMiDs依存的にCRBNと結合しながら分解されなかった。これは新しいタイプの結合因子である。こちらの解析もIMiD-CRBNの関係を明らかにするうえでは大変重要であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
IMiD A1-基質X1については本年度でほとんど終了したので、次に非基質X4の意義についての解析を行う。X4をRNAiやCRISPRでノックダウンもしくはノックアウトした際に、IMiDsの他の既知の基質(Aiolos, Ikaros, Ck1aなど)の分解効率を解析したり、X4の機能にCRBNの結合がいかなる影響を及ぼすのかについて解析を行っていきたい。
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Research Products
(5 results)