2014 Fiscal Year Research-status Report
レドックス・プロファイリングによる細胞内レドックス維持機構の定量解析手法の開発
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26750376
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
新木 和孝 独立行政法人産業技術総合研究所, 創薬分子プロファイリング研究センター, 研究員 (60514255)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 酸化還元 / 翻訳後修飾 / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化ストレスとも総称される、細胞内の酸化還元状態の変化が、肥満、糖尿病、がん、動脈硬化、神経変性疾患など数多くの疾患に関与していることが指摘されている。細胞内の酸化還元状態の情報を網羅性高く把握することが、細胞内の恒常性制御・維持機構の解明に大いに役立つものと考えられる。そのため本研究では、細胞内の酸化還元状態を定量化するための、汎用技術の開発と構築を行うことを目標にしている。酸化ストレス時、最も影響を受ける細胞の構成要素として、タンパク質のシステイン残基が考えられる。そのため、本研究ではシステイン残基を具体的ターゲットとして、還元状態と酸化状態にあるシステイン残基を見分け、それらの存在量比を定量化する技術の開発を目指している。システイン残基の同定には、質量分析計を用いた解析手法を用いている。システイン残基の酸化状態と還元状態を見分けるため、まず還元状態にあるフリーのシステインを、チオール特異的な修飾剤でラベル化する。その上で、酸化型のシステインを還元し、その後、このフリーになったシステイン残基を、質量の異なるチオール特異的修飾剤でラベル化する。そして、これらのシステイン残基を濃縮し、質量分析計測を行う。修飾試薬の質量差を見分けることで、それぞれのシステイン残基のもとの酸化還元状態を追跡する。また、それぞれのペプチドのイオン強度などを比較することにより、酸化・還元状態の量比を定量化することも可能になる。現在までに、以上の技術をほぼ確立しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所期の目標を着実に達しつつあり、順調に研究計画を遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発した技術を用いて、細胞内の酸化還元状態を網羅性高く定量化していくことで、細胞プロファイリング情報として蓄積し、細胞状態を検出する汎用技術として確立していく。
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Causes of Carryover |
3月4月中の年度替わりの時期に、試薬を購入する可能性を考慮して、一部の資金を試薬購入費用としてプールしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬購入費として使用する予定である。
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