2014 Fiscal Year Research-status Report
越境する人口集団の持続的健康―中国海南省文昌市大宝村を中心とした拡がり―
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26760001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 陽介 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80722016)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中国 / 華僑 / 家系図 / 人口 / 移住 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、中国海南省文昌市の村落に保管されている家系図の情報を利用し、東南アジア諸国に華僑として移住したことの意味を、当地の歴史的なイベント(第二次世界大戦、新中国成立など)との関連を念頭に置きながら、人類生態学の立場から検討することである。文昌市は東南アジアをはじめとした世界各地に華僑を多く輩出してきたことで知られている。 平成26年度は過去150年の同村の人口数の推移を家系図情報をもとに推計することを主たる目的として研究を推進した。具体的に実施したのは、(1)対象村落を訪問し家系図情報を収集すること、(2)収集した家系図に記載されている情報を集計・分析しやすいようにデータベース化することの二点である。 (1)については、対象村落に暮らす林、符、鄧、劉各氏を訪問し、家系図を記録した家譜の情報を記録させてもらった。予備調査のとおり、先祖の系譜を記載した家譜を保管している家庭が多く、対象村落のほぼすべての世帯の家系図情報を収集することが出来た。しかしながら、そのデータの質は、遡及可能な期間の違いや記載されている親族範囲の違いなどが存在するように見受けられるため、情報の妥当性の評価を現在も行なっている最中である。他にも出生年に比べ死亡年が明らかでない個人が多かったため聞き取りなどで出来る限りの対応をおこなったが、依然としてデータが不足している箇所が存在しているため、特別な対応が必要である。(2)に関しては家系図管理ソフトであるGenoProを使用して家系図情報を入力している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先方研究機関の都合により最近は村落部での調査が許可されない。そのため、家系図情報の不備を補うための聞き取り調査が進展しない。これに関しては分析方法を工夫することで対応する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
データ整理を完了させ次第、過去150年間の人口推移を明らかにする。さらにそうした人口推移が出稼ぎや歴史的なイベント(日本軍の侵攻、文化大革命、改革開放経済の導入、一人っ子政策との導入)とどのような関連があるのか検討する。
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