2016 Fiscal Year Annual Research Report
Contribution of research results to Tanzanian local communities in reducing the ethnic conflict
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26760012
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
加藤 太 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (90512244)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | タンザニア / 稲作 / 地域研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では良好な民族集団の関係の構築に貢献するため、研究成果を地域社会に還元すると同時に、民族集団の共生関係に影響を及ぼす要因について分析することを目的としている。平成28年度は、1.タンザニア各地における土地利用と民族間関係、2.民族問題の解決と協調関係の発展モデルの構築に関する調査研究を実施した。 タンザニア各地における土地利用と民族間関係:調査地において農牧民スクマと農耕民ポゴロの民族関係を調査した結果、土地をめぐる民族間の対立が衝突の原因となっていた。しかし、その関係が改善される過程で、スクマがポゴロをうまく懐柔しながら問題を解消していったことも明らかになった。例えばスクマは、衝突が起こったとき、彼らだけがもつ多彩な技術やホスピタリティを駆使しながらポゴロと共生的な関係を築いていった。スクマの巧妙な他民族との付き合い方は、多くの民族がひしめくタンザニアにおいて、牧草地として広大な土地を利用しながら多くの家畜を飼養してきた彼らの知恵であるともいえる。 民族問題の解決と協調関係の発展モデルの構築:本テーマでは脱穀機を調査地に導入し、その製造から利用の過程で民族間の協力関係を強固にする試みを実施した。本研究の結果、アフリカの農村で脱穀機を作成することは、これまで同じ地区に独立して存在していた技術と人を、脱穀機の作成者がつなげていく作業になった。また、脱穀機を作成している段階では、多くの農牧民スクマが脱穀機を使用することを望んでいた。農耕民ポゴロの集落で脱穀機の量産が始まった場合、先駆的なユーザーとなる人々は間違いなくスクマであることが予想された。導入した脱穀機はかつて対立関係にあった両者をつなぐ新たな接点となることが考えられる。
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