2014 Fiscal Year Research-status Report
被曝地の未来をどう拓くのか:マーシャル諸島米核実験被害〈補償〉をめぐる包括的研究
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26760013
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
竹峰 誠一郎 明星大学, 人文学部, 准教授 (40523725)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マーシャル諸島 / 核実験被害 / 被曝 / 補償 |
Outline of Annual Research Achievements |
米国の核実験が1946年から58年にかけて67回実施されてきた中部太平洋に浮かぶマーシャル諸島では、核被害は今なお続き、<補償>を求める声が止むことはない。被曝地の未来をどう拓いていくのかをテーマに、核実験被害をめぐる実態調査に引き続き取り組みながら、核実験被害〈補償〉をめぐる包括的研究に取り組んだ。 主な研究実績は次のとおりである。1)マーシャル諸島の現地フィールド調査を実施した。1986年に規定された核実験補償制度の概要を把握した。また、177 Health Care Program、Nuclear Clam Tribunal、補償対象自治体の事業の現状をおおむね把握した。2)マーシャル諸島共和国から水爆実験の被曝者であるTempo Alfred氏、元国会職員のRosania A. Benett氏の招聘に尽力し、国際シンポジウムとギャラリートークを都内で開催するともに、静岡と福島でフィールドワークを実施し、知見を深めるとともに新たなネットワークを構築した。3)本課題研究の成果も盛り込み『マーシャル諸島終わりなき核被害を生きる』(新泉社、2015年、456頁)を上梓した。「凄まじい内容の労作」(『週刊読書人』2015年4月24日:評者・竹内修司 氏)、「福島原発事故を経験したわれわれにとって必読の書」(『北海道新聞』2015年4月12日、評者・永田浩三氏)などの評価を得た。 グローバルヒバクシャ研究会で共に共同代表を務める広島市立大学・高橋博子氏、明治学院大学国際平和研究所(高原孝生・所長)、原爆の図・丸木美術館(小寺隆幸・理事長)、トヨタ財団研究プロジェクト「福島発 世界へ 世代を超え未来につなぐ被ばく体験のアーカイブ化とネットワーク構築」(藍原寛子・代表)など多彩なネットワークを活かし連携しながら進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1)現地調査を予定通り実施し、補償の概要をおおむねつかむことができた。 2)多彩な連携を組み国際シンポジウムを実施することができた。 3)研究補助員を雇用し、効率的に研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)マーシャル諸島での現地調査を実施し、補償金がもたらす地域社会への影響を見据えた研究をおこなう。 2)米公文書の収集、分析作業をおこない、米国側の政策的意図にも踏み込み、補償金の問題を読み解いていく。 3)研究補助員を引き続き雇用し、効率的に研究を進めていく。 4)グローバルヒバクシャ研究会や環境平和研究会など多彩なネットワークを活かして、学術的にはもちろんのこと、社会的にも発信力を持った研究を追求していく。
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Causes of Carryover |
所属大学から科研費採択インセンティブ研究費(200,000円)をいただき、物品費を一部同研究費から支出したため、若干の繰り越しが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費に充当する予定である。
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