2016 Fiscal Year Annual Research Report
Depopulated rural communities and their resource management
Project/Area Number |
26760016
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Research Institution | Lake Biwa Museum |
Principal Investigator |
大久保 実香 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 学芸員 (50636074)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 山村 / 人口減少 / 村落 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は、人口減少後の地域コミュニティの変容と現状を、他出者や他出二世、かかわりを持つよそ者の意向や行動も含めて明らかにすることで、これからの地域コミュニティにおける資源管理の可能性と限界を考察し、有効策を検討することである。 平成28年度は、山梨県早川町などの山村集落での現地調査を引き続き行った。居住者の高齢化や、他出者から他出二世への代替わりが進む中、山村集落とその資源管理をめぐる状況は、引き続き変化の最中にあるといえる。今年度は特に、各集落における信仰や関連する慣習、それに対する地域住民の認識に焦点を当てた現地調査を行い、その結果をまとめた。山の神様などの信仰のあり方は地域住民による自然認識や資源管理にも影響を与えていたが、次世代への継承の状況は様々だった。研究成果の一部については、琵琶湖博物館研究セミナーや琵琶湖博物館の企画展示を通じて、来館者への紹介を行った。 家のメンバーとしてのみならず村のメンバーとしても他出者が一定の役割を果たしてきた事例や、居住者がすでにいない集落で共同作業と祭りが継続されてきた事例からは、居住者がいなくなった後もなお、集落の営みが続いていく可能性が示された。共有・共用する資源とそれをめぐる定期的な契機によって人々が直接的に繋がり合い、また、土地に根差した資源を通じて人々と土地とが直接的に繋がりあうといった形で、たとえ居住者がいなくても、山村集落の営みが部分的であれ続いていく可能性がある。
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