2016 Fiscal Year Research-status Report
女性の貧困の実証研究に基づく女性福祉の構想―セクシュアリティ概念の再定義を通じて
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26760019
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
丸山 里美 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (20584098)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 貧困 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の第一の目的は、女性の貧困をセクシュアリティに注意しながら把握することである。そのために、貧困者の支援をしている「NPO法人自立生活センター・もやい」の相談記録の分析を行った。データ入力・整理が終了した今年度は、共同研究者を集めて分担を決め、分析に着手しはじめた。研究代表者の分担部分である女性の貧困については、概要の整理が終了した。また、本研究の成果を広く社会に還元するべく、分析結果を一般書籍の形で公開するべく、出版の準備を進めた。 本研究の第二の目的は、女性を対象とした福祉制度に見られる性規範をミクロに把握することである。本年度は、大阪府内にある困窮女性を対象とした福祉施設(母子生活支援施設、救護施設、婦人保護施設、DVシェルター等)の職員と共同で、異なる福祉制度にまたがって存在している貧困女性の支援制度の異同を整理し、制度改正に向けた提言をまとめ、それを関係者に伝えるシンポジウムを開催した。 本研究の第三の目的は、女性の貧困を把握するための理論的研究を進めることである。本年度は、女性の貧困が見えにくい大きな要因となっている家庭内での不平等な資源配分について、それを実証的にとらえようとしている国内外の研究を読み進めた。日本では、1970年代にそれらをとらえる調査が行われて以降、一部の調査でその成果が受け継がれている以外は研究の進展がほとんど見られないが、イギリス等においては、大規模パネル調査が継続的に行われており、それらが政策分析にも反映されたり、国際比較研究として発展したり、方法論についての検討も多く行われていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の第一の目的であった、「自立生活サポートセンター・もやい」の相談記録の分析は、研究成果を広く公開するため、書籍化を進めているが、個人情報を扱うため、「もやい」と慎重に協議を進める必要があったことから、調整に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
「自立生活サポートセンター・もやい」の相談記録の分析の書籍化については、「もやい」と出版社とですでにほぼ合意に達しており、今後も個人情報の扱いには十分注意しながら、慎重に協議を重ねて進めることで、29年度中には出版にまで到達することができると考えられる。
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Causes of Carryover |
研究の第一の目的であった、「自立生活サポートセンター・もやい」の相談記録の分析は、研究成果を広く公開するため、書籍化を進めているが、個人情報を扱うため、「もやい」と慎重に協議を進める必要があった。そのために調整の時間を要したが、ほぼ合意に達することができており、今後も慎重に計画を進める。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「もやい」の相談記録の分析の書籍化については、分析はほぼ終了しており、原稿の執筆と、前提となる情報の整理が残されている。今年度は、原稿執筆のための研究会の実施と、それへの専門家からのコメント、情報の整理とそれにかかる諸経費に助成金を使用し、書籍化を進める予定である。
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