2016 Fiscal Year Annual Research Report
The possibilities of tourism hunting and local resource management - demonstrative research of coexistence with wildlife in Hokkaido
Project/Area Number |
26760021
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安田 章人 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (40570370)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 野生動物 / 狩猟 / 資源管理 / 観光 / 地域社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、北海道における観光狩猟と地域社会の関係を、住民の生活実践に基づいた観点から、フィールドワークによって実証的に分析し、野生動物と人間社会の共生関係の構築に対して、観光狩猟と地域資源管理がもつ可能性を明らかにすることを目的とした。
北海道において、増加するエゾシカへの対策の一環として、猟区を設定し、エゾシカを観光狩猟のための資源として活用することによって、個体数管理とともに、地域経済の発展、安全な狩猟活動を進める試みが新たに取り組まれていた。本研究では、2014年に設定された占冠村猟区を事例とし、村内外の関係者から聞き取り調査をおこない、猟区導入過程における、猟区と観光狩猟が地域社会にもたらす社会的な影響を分析した。その結果、村内関係者からは、安全な狩猟の実施を期待する声が多く聞かれた一方で、経済的・生態学的メリットに対する期待はほとんど聞かれなかった。むしろ、農業被害対策が重視されていないこととともに、過去の観光開発のように猟区運営やエゾシカ管理がトップダウン的におこなわれようとしていることに対する不安が聞かれた。そのため、猟区によるエゾシカの利用管理において、「安全な狩猟」「農業被害対策」「地域経済の活性化」のバランスをとることとともに、地域住民の生活や地域社会の歴史などと柔軟に「すり合わせ」をおこなうことが必要であると考察された。
本研究の成果をもとに、社会還元を目的とした現地での研究成果報告会をおこなったほか、学会および公開講演で発表した。また、日本森林学会誌に投稿し、98号第3巻に掲載された。
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Research Products
(5 results)