2015 Fiscal Year Research-status Report
論理学的手法を用いた自然言語推論と図形推論の統合的研究
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26770009
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
峯島 宏次 お茶の水女子大学, プロジェクト教育研究院, 講師 (80725739)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自然言語推論 / 図形推論 / 認知科学 / 形式意味論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自然言語推論と図形推論を論理学・認知科学の観点から統合的に分析する枠組みを構築することを主たる目的としている。研究代表者による昨年度までの研究をふまえて、今年度は自然言語推論と図形推論の研究を並行して進め、その成果の一部を論文としてまとめた。 (1) 自然言語推論の研究としては、論文 "Higher-order Logical Inference with Compositional Semantics" において、自然論理(natural logic)を拡張した高階論理体系のもとで、量化を中心とする自然言語の広範囲の推論現象を扱うことができることを示した。また、昨年度に引き続き、型理論の観点から照応・前提などの文脈推論の研究を進め、論文 "Towards Modeling Natural Language Inferences with Part-Whole Relations using Formal Ontology and Lexical Semantics" ではいわゆる橋渡し推論(bridging)の分析を試みた。また論文 "Factivity and Presupposition in Dependent Type Semantics" では叙実述語(factive predicate)の前提推論の型理論的な分析を試みた。 (2) 図形推論の研究としては、基本的な量化推論におけるオイラー図とヴェン図の有効性を論理学・認知科学の観点から比較し、その成果を論文 "How diagrams can support syllogistic reasoning: an experimental study" にまとめた。また、昨年度までの量化・関係推論についての分析を拡張し、一般化量化子を含む論理推論において効果的な図形表現についての研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自然言語推論の研究については、高階論理の観点からの量化推論の研究、ならびに、型理論の観点からの文脈推論の研究が当初の予定通り順調に進んでいる。量化推論の研究成果は、この分野で国際的に評価の高い国際会議(EMNLP 2015)に採択され、proceedingsに論文が掲載された。特に、自然言語の合成的意味論と高階の証明体系を接合を試み、自然言語処理にも応用可能なシステムを提示した点で、自然言語推論への計算論的アプローチに対する貢献も高いものと考えられる。 研究実績(2)で示した成果は、論理学・認知科学の分野横断的な研究であり、この分野の主要な国際ジャーナルの一つである Journal of Logic, Language and Information 誌に掲載された。図形推論の認知科学的研究がこのジャーナルに掲載されることはまれであり、今後の図形推論の学際的研究の発展に結びつくことが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
自然言語推論の研究としては、前年度までの量化推論と文脈推論の研究成果を統合し、高階論理・型理論の観点から、自然言語の主要な推論現象を包括的に扱う体系の整備をさらに進めていく予定である。図形推論の研究としては、"most"を典型とする比率を表す一般化量化子 (proportional quantifier)の図形表現・図形推論の研究をさらに発展させる予定である。
これらの研究の成果は、国際学会における発表、論文誌における出版という形で順次公表していく予定である。高階論理・型理論の成果の一部は、8月にイタリアで開催される European Summer School in Logic, Language and Information (ESSLLI 2016)での発表が予定されている。図形推論に関する研究成果は、8月にアメリカで開催される図形推論の代表的な国際会議 Diagrams 2016 での発表が予定されている。
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Causes of Carryover |
当初予定していた国際会議への投稿・参加を一部見直したことにより、次年度使用額が生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、すでに採択されたものも含めて、国内学会・国際学会での研究発表、および、コンピュータ等の購入を予定している。
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[Presentation] Factivity and Presupposition in Dependent Type Semantics2015
Author(s)
Ribeka Tanaka, Koji Mineshima and Daisuke Bekki
Organizer
TYpe Theory and LExical Semantics (TYTLES) in the 27th European Summer School in Logic, Language and Information (ESSLLI 2015)
Place of Presentation
Universitat Pompeu Fabra, Barcelona, Spain
Year and Date
2015-08-07
Int'l Joint Research
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