2014 Fiscal Year Research-status Report
ポスト・ヒューマン時代における「他者の倫理」:レヴィナスと現代仏語圏倫理学研究
Project/Area Number |
26770012
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡名喜 庸哲 慶應義塾大学, 商学部, 講師 (40633540)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | レヴィナス / デリダ / 倫理 / 人間主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は当研究課題にとって1年目となるが、主として研究課題に関連する研究図書・資料の収集および分析と、その成果公表にあてられた。 関連図書・資料に関しては、国内で調査・収集を続けたほか、8月にフランス(パリ市)への出張を行ない、当地の各図書館・専門書店において調査・収集を行なった。また、この出張を利用し、フランスの関連分野の研究者との意見交換も行うことができた。 研究内容については、第一に近年公刊の『レヴィナス著作集』の精読・翻訳作業を進めている。その成果は、2015年に単行本として公刊される予定である。また、レヴィナス研究会との共催で定期的に研究会を開催し、日本における若手研究者との意見交換を行なった。 これらの成果は、第一に、9月に行なわれた日仏哲学会・レヴィナス研究会共催シンポジウムにおける口頭発表で公表した。そこでは、『レヴィナス著作集』第一巻の精読に基づき、そこから戦後のレヴィナス哲学の展開を再解釈する可能性を指摘した。第二に、10月に行なわれた脱構築研究会主催のシンポジウムにおいては、ジャック・デリダとレヴィナスとの接点に関する発表を行なった。第三に、所属する大学内の紀要において、レヴィナスの「人間主義」をあらためて考え直すことを主眼とした論文を執筆した。この論文は、主著『全体性と無限』の読解に基づき、レヴィナスにおける「人間」概念の外延について再考を求めるものであり、当研究課題を今後いっそう展開してゆくための土台となるものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」においては、本年度が当研究課題一年目ということもあり、目的は研究図書・資料の収集・分析およびフランス短期滞在を利用した現地調査に限られていた。これらの目的は十分に達成されたと言えるが、それに加えて、「研究実績の概要」にも記したように、研究課題に密接に関連するものだけでもシンポジウムでの発表2件と論文1件において、研究成果を公表することができた。この点に当初の計画以上の進展が認められる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策は、2年目の2015年度にはレヴィナス研究に限られない仏語圏の現代倫理学研究の調査・分析および短期ヨーロッパ滞在・ワークショップの開催、3年目の2016年度には研究の総まとめと成果の公表をめざしている。こうした実施計画は、おおむね順調に遂行できるように思われるが、ワークショップの開催については、関係研究者の都合によっては若干の時期の変動が予想される。その対応策としては、短期海外研究滞在時や関連シンポジウム等で海外研究者が来日時した際などに活発に意見交換をすることにより調整を行なう予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度の直接経費を執行計画に従い使用した結果、端数が生じたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については翌年度に研究図書(一冊)購入のために使用される予定である。
|