2014 Fiscal Year Research-status Report
現代中国の少数民族におけるキリスト教受容に関する研究―イ族を中心に
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26770030
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Research Institution | Fukuoka Jo Gakuin University Junior College |
Principal Investigator |
徐 亦猛 福岡女学院大学短期大学部, 英語科, 准教授 (00638265)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中国少数民族 / キリスト教 / 宣教師 / 宗教学 / 近代史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度の研究計画に掲げた「イ族におけるキリスト教受容に関する研究ー英国宣教師ポラード」の成果を以下のように挙げることができた。 現代の中国少数民族において経済、政治の成長と共に、キリスト教の広がりは著しい。この現象は、中国少数民族の宗教研究においてきわめて興味深い課題であり、考察し検討する必要があると感じられた。中国の諸少数民族の中に多くキリスト者人口を持つのは、イ族である。従来、イ族の宗教的基盤は伝統的な原始宗教である。しかし、イ族の間に非常に浸透しているのは、漢民族の伝統的な民間信仰ではなく、西洋文化の根源であるキリスト教である。キリスト教は外来の宗教として、イ族の伝統的な原始宗教、道徳規範、既に形成されていたライフスタイル、及びイ族の本来の文化と社会的構造に深刻な影響と衝撃を与えたのは間違いない。イ族におけるキリスト教の受容を考察する場合、宣教師、宣教団体から直接影響を受けた事実として非常に重要である。中国ではイデオロギーの問題から長く宗教研究は困難であったので、宣教師や宣教団体に関する研究について、大きな進展がなかった。本研究は、イ族との深い関係がありながら、その実態が解明しきれていないのがポラード(Samuel Pollard 柏格理)と彼が所属する英国循道公会を取り上げて、宣教師、宣教団体史料の活用を通して、ポラード、英国循道公会が当時のイ族に向ける布教において果たした役割、及びイ族におけるキリスト教受容の歴史的背景についてこれまで解明されてこなかった布教関係及び事象を明らかにした。 その成果として、2014年度のキリスト教史学会西日本部会において研究発表を行った。その時、寄せられた質問やご意見に基づいて、発表原稿を見直しながら、論文としてまとめ、2015年度中投稿する予定である。さらに、2015年4月から開講する市民講座に成果発表する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において宣教師及び宣教団体史料の調査と収集は中心課題の一つである。イ族への布教の中心人物である英国人宣教師ポラード(Samuel Pollard 柏格理)及び所属の英国循道公会関連史料は、英国現地での調査と収集が必要である。2014年度中、史料の存在が確認されているロンドン大学(SOARS)、英国循道会本部、大英図書館など各地に赴き、史料の閲覧、史料撮影を行った。収集した史料のもとで、研究発表の原稿をまとめた。
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Strategy for Future Research Activity |
イ族におけるキリスト教受容の歴史的背景(特に宣教師と宣教団体)を明らかにした後、現代におけるイ族のキリスト教信仰実態を解明する必要がある。そのため、雲南省と四川省のイ族居住地区に対して、現地調査を実施し、キリスト教信仰活動の基本状況、伝統的な原始宗教との関係、イ族の文化生活に対する影響などのデータを収集し、分析する。
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Causes of Carryover |
本年度3月下旬まで香港大学、香港中文大学等の図書館で行った補足資料調査の費用は、年度内に会計処理ができなかったため、次年度に計上する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度3月下旬まで香港大学、香港中文大学等の図書館で行った補足資料調査の費用として使用する。
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Research Products
(1 results)