2015 Fiscal Year Research-status Report
1780-1830年代のフランスの都市構想における「流れ」の概念について
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26770047
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
小澤 京子 和洋女子大学, 人文社会科学系, 准教授 (40613881)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 都市・建築史 / 社会思想史 / 空間の表象 / 身体論 / ユートピア構想 / 生政治と建築 / 新古典主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、前年度に引き続き、18世紀から19世紀にかけてのフランスを中心とする都市計画・建築構想の言説と図版の調査・研究を行なった。具体的には、以下の通りである。 1.サン・シモンやサン・シモン主義の思想を分析する上で重要な先行研究である、Pierre Mussotによる一連のサン・シモンとネットワークをめぐる研究の読解を行なった。 2.19世紀前半の都市計画・交通網整備を担った高等教育機関、国立理工科学校や国立土木学校と、サン・シモン主義との関係を研究した 3.以前の研究の継続課題であり、本研究課題にとっての「前史」ともなる、ルドゥ、サド、および彼らと同時代の「建築を通じた社会改革案」の研究を深化させた。
また上記研究の根底にある、都市・建築の表象分析手法や、身体への眼差しに潜む政治性と身体を囲繞し規定する諸制度への問題意識を、よりアクチュアルな事象の研究へと発展させたものが、依頼を受けて執筆ないし口頭発表を行なった次の諸業績である;「人造美女の系譜学:ポストヒューマン的テクノロジーのジェンダー化をめぐる文化的想像力」(論文)、「建築と衣服:装飾をめぐるアンビヴァレンス」(論文)、「美少女とはいかなる記号なのか?」(口頭発表・パネルディスカッション)、「1980年代の日本における「遺棄された場所」のイメージ」(口頭発表)、「ピラネージ《牢獄》の奇妙さについて:透視図法の撹乱とモンタージュ」(口頭発表)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フランス・ベルギーでの連続テロ事件を受け、休暇期間に予定していた調査のための海外渡航を延期したため、海外アーカイヴズでの一次文献調査や海外で開催される国際学会での発表を、計画通りに行なうことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題については、2016年度まで期間延長を申請し、日本学術振興会の承認を得ている。 長期休暇を利用してフランスに滞在し、資料調査を行う。フランス国立図書館(BnF)所蔵資料の他、18世紀後半以降に都市計画・土木技術分野でのエンジニア、テクノクラート養成機関となった国立土木学校や国立理工科学校、また生命科学史関連(パリの医学・生理学系大学間連合図書館Biu-Santeなど)のアーカイヴズの調査を行なう。 これまでの成果を総合し、2~3本の論文として学術誌に投稿する(後の書籍化を想定)。また国際美学会などを利用し、研究成果の海外への発信も積極的に行なってゆく。
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Causes of Carryover |
2014年度中の研究機関変更手続に約4ヶ月掛かり、この間の科研費を使用した研究遂行に多大な支障を来した。また、2015年度からは和洋女子大学に専任教員として着任したため、計画当初の想定より教育や学務に割かれるエフォートが多大となった。さらに同年度には、フランスやベルギーで起きた連続テロ事件を受け、予定していた渡航調査を安全確保のため中止した。このため、2015年度末に生じた50万円の未使用額を次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
過年度に予定していたフランスでの現地資料調査を2016年度に行ない、次年度使用額をこの経費に充当する。
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Research Products
(8 results)