2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Merchant Houses in Colonial India
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26770054
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
豊山 亜希 近畿大学, 国際学部, 講師 (40511671)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | インド / 植民地美術 / 商家建築 / 壁画 / タイル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イギリス統治下にあった19世紀半ばから20世紀前半のインドにおいて、植民地経済への参与で大きな成功を収めた2つの商業カースト、すなわち北インド出身のマールワーリーと南インド出身のチェッティヤールの邸宅建築群について比較考察を行うものであった。いずれのコミュニティも、経済活動で得た富を財源として、故郷の集落に大規模な邸宅を造営する慣行をもち、その室内調度や壁・天井への彩色装飾には、当時の流行や施主の経済力の変化が反映されている。本研究においては、「家」という個のアイデンティティの起点における視覚表象の変化をたどることで、イギリス支配がインドの人々に与えた自己認識の変化を明らかにすることを目指した。 最終年度は、研究成果の国際発信を課題に掲げ、3つの国際学会で口頭発表するとともに、英文査読誌への投稿を行った。発表した国際学会は、第45回アジア研究学会南西支部会(アメリカ・テキサス州サンアントニオ)、第45回アメリカ南アジア学会(アメリカ・ウィスコンシン州マディソン)、消費文化史学会(東京・学習院大学)である。インドの植民地美術について、アジア全体、南アジア、消費文化という異なる切り口から発表を行ったことで、本研究終了後の発展的課題を見出すことができた。それは、インドと他地域との比較を行い、グローバルな近代化において、インドの人々の自己認識の変化の普遍性と特殊性を明らかにすることである。この課題は、平成29年度に研究代表者として新規採択された科学研究費(若手研究B)「植民地期インドの商家建築壁画にみる近代性と民族主義の形成過程」において取り組む予定である。
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Research Products
(6 results)