2014 Fiscal Year Research-status Report
芸術分野における起業家精神(アントレプレナーシップ)育成に関する基礎研究
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26770076
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小島 レイリ 早稲田大学, 商学学術院, 助手 (10636905)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アートマネジメント / 文化政策 / 舞台芸術 / 芸術機関 / アントレプレナーシップ / アントレプレナーシップ教育 / アメリカ:イギリス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年注目されている芸術分野における起業家精神(アントレプレナーシップ)育成教育の実態を調査・分析することで類型化し、そのあり方を検討することを目的としている。アントレプレナーシップ教育は、経営学の分野でのみ行われてきたものであるが、欧米諸国においては、2008年以降芸術分野での当該教育の動きが盛んになってきている。ただしスタート時期かつ学際分野ということもあり、基礎研究がほとんど進んでいないため、先進的な取組を行っているアメリカ及びヨーロッパ諸国の高等教育機関及び非営利組織に注目し、それらの実態の克明な調査と分析を通して、基本的な理論並びにその教育システムのモデルプログラムを構築していくことを目指している。
初年度である平成26年度は、平成25年度までに実施した過去の調査資料整理を中心に、芸術分野におけるアントレプレナーシップ概念展開の背景を考察した。2006年以降の音楽大学の動きを中心に、新聞や雑誌記事等の資料調査を行うと同時に、ドイツ・ヒルデスハイム並びにベルリンで行われた国際文化政策学会(Int'l Conference on Cultural Policy Research)、アメリカ・ニューヨークで行われた国際舞台芸術機関協会年次大会(Int'l Society for Performing Arts/ISPA NY 2015)に参加し、諸外国の状況把握と関係者との情報交換に努めた。また、海外におけるアントレプレナーシップ人材育成プログラム事例として、ジュリアード学院、マンハッタン音楽学校、カーネギーホール、リンカーンセンターを対象とした調査を行い、現地視察を中心にデータ収集及び関係者へのインタビューを実施した。
成果発表としては、2015年1月のISPA NY 2015での招待講演があげられる。「Japan Updates」と題して、日本における舞台芸術分野の状況と今後の方向性について、アントレプレナーシップ教育の現状をおりまぜ講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度前半は予定通り研究が進んでいたのだが、平成27年9月~12月まで腰椎椎間板ヘルニアのため身体を動かすことがままならず、研究にはほとんど手をつけられなかった。そのため当初の計画よりもやや遅れるかたちとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の調査に引き継ぐかたちで、事例調査を中心に行う予定である。27年度は、以下の育成プログラムの実態調査にとりかかる。
ギルドホール音楽演劇学校、英国王立音楽院、ボストン大学、ニューヨーク大学、コロンビア大学、スタンフォード大学、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学、インペリアル・カレッジ、ハーバード大学経営大学院、MITスローン・マネジメントスクール、スタンフォード大学経営大学院、
また、Arts Entrepreneurship Educator’s Network(AEEN)やGlobal Entrepreneurship Congress(GEC)、International Society for Performing Arts(ISPA)などの国際会議に参加し、世界から集まる関係者と情報交換をするとともに、海外の最新状況のアップデートにも努める。成果発表としては、上記の国際会議に加えて国内の文化経済学会、文化政策学会、音楽芸術マネジメント学会などでの学会発表及び論文発表を積極的に行う。
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Causes of Carryover |
今年度は体調を崩してしまったため、予定通りに研究が進まず、調査は新たなデータ収集及び国際学会等での関係者インタビュー等に基づく情報収集等にとどまってしまった。そのため今後多くなってくる事例調査に必要なビデオカメラや、収集データを分析するためのPCなどの購入をすることができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究は海外での視察やインタビューを中心とした実態調査が基本となるため、外国旅費が十分に必要である。また調査のみならずデータ・資料収集のため国際会議への出席、成果の蓄積されたものから適宜行う研究成果の発表のため、国内・外国旅費が今年度よりも増える。アメリカ東海岸、アメリカ西海岸、イギリス及びヨーロッパにおいて、各1回の調査を計画しており、できるだけ出席予定国際会議(AEEN、ISPA、GEC等)と日程を調整して、多くの機関をまわれるようにする。また教育プログラムのシステム・方法論について専門的知識の提供に対する海外研究協力者への謝礼や、国内外学会・会議への参加費、調査資料及び書籍購入が計画されている。また、上記のように本年度購入することのできなかった事例対象のプログラムを録画するためのビデオカメラ、収集データを分析するためのPCを購入をする。
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