2014 Fiscal Year Research-status Report
映画・テレビにおけるハンセン病患者の表象についての歴史的考察
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26770077
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
北浦 寛之 国際日本文化研究センター, 研究部, 助教 (20707707)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ハンセン病 / 日本映画 / テレビ / 差別 / 表象 |
Outline of Annual Research Achievements |
映画・テレビにおけるハンセン病の歴史的表象を探る本研究では、平成26年度において、基礎調査を重点的におこなった。主に東京の国会図書館で、ハンセン病関連の映画作品やテレビ番組がどのような産業的状況から生み出されたのかを、業界誌ならびに、映画会社やテレビ局が出している広報誌などを蒐集し調査した。 また、国立ハンセン病資料館では、日本におけるハンセン病問題の歴史的展開を調査するとともに、ハンセン病患者たちの療養所内での生活について、同資料館の図書館に集められた全国各地の療養所の機関誌、『高原』や『多摩』などを調査することで探っていった。それらの資料から、ハンセン病患者たちが療養所内で映画をどのように受容していたのかが明らかになって来た。くわえて、資料館の職員からのヒアリングもおこない、ハンセン病についての多様な問題も理解することができた。 他方、じっさいに製作されたハンセン病関連の映像作品についても蒐集し、繰り返し視聴して分析した。ソフト化されているものだけでなく、されていない作品も多くあり、それらについては神戸映画資料館で『あつい壁』(1970年)など該当するフィルムがあったので、特別に試写上映してもらって視聴した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、当初から映画・テレビのハンセン病関連作品ならびにハンセン病そのものに対する歴史的一次資料の調査を重点的におこなう予定であったので、それに関しては、映像資料ならびに活字資料ともに、充実した調査が果たせて順調に進んでいると感じる。もう少し、ハンセン病関連の専門家や元患者の方と話をして、調査した内容と統合できればより円滑に研究が進展したと思われ、学会やシンポジウム等の場で口頭発表も果たされなかった点が反省点として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
まだ不十分な資料調査を継続して進めながら、調査した活字資料の内容と、関連の映像を分析した内容を整理・統合して論点を明確にしていく。 また、ハンセン病療養所施設を訪問するなどして、元ハンセン病患者たちへのインタビューをおこない、資料調査を補填するかたちで、問題点を克服していく。 そうした作業を経て、学会やシンポジウム等で口頭発表をおこない、そこでの議論を踏まえて、論文執筆を目指す。
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Causes of Carryover |
平成26年度において研究調査等による出張が、研究の進捗状況との兼ね合いから、予定していたほど果たせず、旅費の支出が少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ハンセン病資料館における活字一時資料の調査がまだ不十分で頻繁に訪れる必要があることに加え、平成26年度には果たせなかったハンセン病療養所での、元患者へのインタビューや、自治会が保管している資料調査を次年度は積極的におこなう予定で、そうした活動のための旅費を中心に使用していく。
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