2015 Fiscal Year Research-status Report
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26770083
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Research Institution | Saitama Gakuen University |
Principal Investigator |
掛野 剛史 埼玉学園大学, 人間学部, 准教授 (00453465)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メディア / 雑誌 / 戦時下 / 日本文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も前年度に引き続き、戦時下において陸軍報道部と密接にかかわった雑誌、出版社、言論人に焦点を当て、その影響関係を含めた実態解明と雑誌メディア自体の展開を調査、考察した。 具体的には戦後に「戦犯出版社」として名指しされた出版社の一つ、山海堂の活動に焦点を当てた。戦時下の『内燃機関』『機械化』という雑誌の展開を跡づけ、軍関係者との関わりを強めていくことを示し、この流れの中に『報道』というプロパガンダ誌があることを証した。山海堂が発行したこの『報道』という雑誌を編集していた大東研究所、その代表である大熊武雄についてはこれまで全く注目されたことはなく、参照できる文献もなかったが、この団体と人物は戦時のメディア統制に関与し、また著名な鈴木庫三とも強い結びつきを持つ重要な団体であり人物であった。特に大熊武雄についてはその履歴を跡づけ、著作一覧を作成公開することで今後の研究の基礎的資料となり得たと考える。 雑誌『報道』は創刊号の奥付によれば5万部発行されたことになっているにもかかわらず、その全容は不明なことが多い。全冊を所蔵している公共機関が存在せず、国会図書館でも13冊しか所蔵しておらず、各地の公共機関においても所蔵は極めて稀であり、終刊の時期も不明である。本年度に収集したものおよび以前より収集していた『報道』と、公共機関に散在するものをあわせて、本研究では1~38号までのうち25号を除く37冊を実見することができた。『報道』の書誌を明らかにし、叢書形式が雑誌形式に変わり、月刊から月二回刊へと変わっていくことを確認した。また大熊武雄が一貫して編集にかかわったこと、文学関係の記事は多くないが、火野葦平など報道班員の寄稿もあったことを明らかにした。また誌面内容の検討により、『報道』が現実の戦況と戦局の全体像を見えなくする戦争プロパガンダとして効果を発揮していたことなども明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の主要な対象である戦時体制下における雑誌メディアについて、書誌をまとめた上で具体的な考察を行い、成果として発表することができたため。 またこの成果により、戦前戦後のメディアの連続性についてより考察を深める足掛かりを得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度もこれまでに引き続き、戦時下の雑誌を確認しながら基礎的書誌データを構築し、戦時下のメディアと文学を考察する基礎的な成果をまとめていく予定である。特にこれまで行ってきたような軍関係との強い結びつきを示すようなメディアについてはその戦時下のプロパガンダとしての特質を、雑誌の展開に即して考察していく。たとえば文芸春秋が関与した『航空文化』や『大洋』といった雑誌についての実態解明を進める。 また同時に講談社の『講談倶楽部』といった大衆文学雑誌や、改造社の『大陸』といった時局雑誌についても分析を進め、雑誌メディアの展開と同時期の文学状況、また戦時下から戦後への連続と断絶について明らかにしていきたい。
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Research Products
(1 results)