Basic Research of the Relationship between Art Documentation by Literary Person and Magazines in Postwar Japan

2016 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 26770089
• Research Institution: Tamagawa University
• Principal Investigator: 鈴木 美穂 玉川大学, 学術研究所, 助教 (40547915)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: 日本文学 / 比較文学 / 雑誌メディア / 美術批評 / 文学と美術 / 比較芸術学 / 小林秀雄 / フランス

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、アジア・太平洋戦争後の日本の文化生成過程解明の第一歩として、状況が激変した西洋文化受容の問題を、文学者による美術批評に焦点をあて、調査・分析することを目的としてきた。計3年間の研究期間の前半は「総合的・横断的芸術雑誌『藝術新潮』を中心とする美術系雑誌における美術批評の調査・整理」、後半は「小林秀雄等の文学者の欧州体験・文献渉猟の調査と美術批評の実証的検証・分析」を主な課題としてきたが、本年度は最終年度にあたる。
本年度は、「文学者の欧州体験・文献渉猟の調査と美術批評の実証的検証・分析」を完成させるべく、調査・分析と執筆を行ってきた。既に取り組んできた戦後最初期の雑誌メディアと文学者の膨大な資料調査と整理とともに、具体的検証・分析をさらに進め、執筆も並行してきた。
本研究課題は文学者の美術批評を、美術史の枠組み、あるいは文学史の枠組みに限定して捉えるのではなく、戦後転換期の同時代文学・美術、西欧の文学・美術の動向との連動、また行政・制度の転換を含む同時代状況など、未開拓の総合的視点から捉える大規模な仕事へと発展しており、当初の想定以上の規模となっている。
本研究の最後には研究成果の公開を目標としているが、本研究を含む内容の単行本の出版が出版社の計画としても社内承認されており、400字詰め原稿用紙換算で約800枚規模で、今年度までに3分の2以上の執筆は終えている段階である。
以上のように、本研究テーマはより発展する可能性を見せており、その発展的研究課題は科学研究費挑戦的研究（萌芽）に申請中である。その両課題を含む形で、近日中に成果を公開するべく進めている。また、本研究にかかわる資料所蔵者・著作権継承者との関係もあり、本研究に関しては単行本にて一挙に公開することを目指しており、あえて論文および口頭発表を控えていることを申し添える。