2015 Fiscal Year Research-status Report
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26770093
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyota College |
Principal Investigator |
玉田 沙織 豊田工業高等専門学校, 一般学科, 講師 (60707389)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本文学 / 国文学 / 和歌 / 注釈 / 民俗学 / 古典 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、古典研究の大家とその周辺における和歌注釈の「民俗学的手法」を定点的に調査することで、和歌理解から捉えた前近代日本人の古典認識を新たに考究するものである。「民俗学的手法」とは、注釈などの研究に際して自らと同時代の事象を証拠に用いる研究手法であり、換言すれば、当代を古典世界に直結させる手法である。そして和歌は、古代より文学史の柱であり続けた文学ジャンルである。和歌注釈における民俗学的手法の使用基準を分析することは、各人の「古典」の範疇や価値の特徴を自ずと示すことになる。以上の観点から、基礎的研究の第2段階として、主に下記の研究を進めた。 【事例の追加収集と入力】前年度の4名に加えて新たに1名を追加し、資料の翻字と事例収集に努め、エクセルファイルへの入力を行った。当該人物の事例は、収集済み分の時代上の偏りを是正しうるものである。また、事例の意義を考察するために、関連資料の収集およびその必要箇所の翻字を行った。 【原本調査】新たな1名の著作につき、主要所蔵先へ赴いて原本調査を行った。当該資料は複写が認められていないため、調査には複数回を要した。また、他伝本についても調査および翻字を行い、系統分析に着手した。その成果は、資料の成立研究自体にも資するものである。 【学会発表における言及】関連する内容について行った学会発表(国内学会・査読有)で上記の一部を取り上げ、その意義に言及することで社会的還元を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は当該年度にデータベースを完成させ、資料間および著者人物間の比較を行う予定であった。しかし、収集済み資料の時代上の偏りを是正しうる資料に新たに注目し、作業を追加したため、計画に変更が生じた。当該資料の主要伝本には複写が認められていなかったため、所蔵先に複数回通い、翻字から行う必要があったことも影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、追加資料の事例収集と著作間・人物間比較を終え、最終報告用の論文を執筆する。
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Research Products
(1 results)