2014 Fiscal Year Research-status Report
人種とゴシック:フォークナーとワイドマンの小説の比較研究
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26770101
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
山内 玲 香川大学, 教育学部, 准教授 (60609874)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フォークナー / ワイドマン / 人種 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画通り、今年度は文献収集と文献調査を中心に研究を進めた。具体的には、まずアメリカン・ゴシック批評の文献調査を行い、人種とゴシックの関係性を論じる上で研究の基本的な基盤を確立した。次に、John Edgar Widemanの著作を通読し、研究対象となる作品Philadelphia Fireの、作者のキャリアにおける位置づけを明確にした。この作業を通じて、Philadelphia Fireを研究の中心を据えるという当初の計画を変更し、Widemanの他の作品の分析と考察も視野に入れて研究を進める必要性が生じてきた。当初は当該作品の舞台となる現代の都市部の黒人社会の問題だけに焦点を絞る予定でいたが、奴隷制時代をはじめとするアフリカ系アメリカ人の過去の歴史も作品の素材としたうえでWidemanが創作を行っていることを考慮すると、ゴシックというテーマを考察するに当たり、過去の歴史を以下に語るかという問題との関係性もあわせて検討する必要がある。こうした研究の方向性の変化を踏まえたうえで、当初収集を予定していた二次文献のリストを変更し、二次文献の収集と調査も進めた。基本的な作業として、Widemanの作品をめぐる先行研究の議論を整理しながら、現代の都市部の黒人社会と作品に関連する奴隷制時代の調査を進める必要性のもと、関連文献の調査を進めた。加えて、日本アメリカ文学会全国大会で開催されたアフリカ系アメリカ人の研究発表を聴講し、関連領域の調査も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度は勤務校の校務として割り当てられた職務に予想していたよりも時間を割くことになり、当初予定していた文献調査のための時間を確保することが困難であった。また、読み進める予定であった主要文献のうち数冊が想定したよりも取り寄せるのに時間がかかったことも予定通り研究を進めるための障害となった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き文献調査を進めていく。他方、前年度の方向修正に基づき、必要となる文件を入手する。文献調査に当たり、文献を読むための時間を確保するために、校務のスケジュールを効率的に調整する。
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Causes of Carryover |
前年度購入を予定していた文献の内、入手不可能であったものや取寄せに時間がかかるものの購入費が前年度未使用額にあたる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度購入予定で取り寄せに時間がかかり前年度に購入できなかった文献の購入費用に充てる。
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