2016 Fiscal Year Annual Research Report
Viewing Emily Dickinson in an agricultural environment: With a focus on campaigns to attract Massachusetts Agricultural College to Amherst
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26770103
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉田 要 首都大学東京, 人文科学研究科, 助教 (80705244)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エミリィ・ディキンスン / エドワード・ディキンスン / エドワード・ヒッチコック / アマスト / マサチューセッツ農科大学 / モリル法 / 農業 / 科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度にあたる28年度は、これまで行ってきた研究の周辺に目を向けて、より局所的な視点とより広範な視点から、エミリィ・ディキンスンの農業環境を浮かび上がらせる試みを行った。 その大きな成果は、「合衆国における貧乏白人の文化的表象の歴史的変遷」を研究課題にする研究会で行った「エミリィ・ディキンスンとディキンスン家の労働者たち」と題する研究発表に表れている。この発表では、ディキンスン家で働いていた黒人、白人、アイルランド系移民を主とする男性労働者の表象を、彼女の書簡文を通して分析した。ディキンスンが納屋や果樹園で仕事に勤しむ労働者たちとのやり取りや彼らの様子を頻繁に手紙文にしたため、時には詩の題材にしていたことをあぶり出して、彼女と労働者たちの近さを、ひいては、彼女と(農業)労働との接合点を浮き彫りにした発表である。 もう一つの成果は、かねてより参加していた研究プロジェクト「アメリカ文学と革命」の成果が科研費の研究成果公開促進費の助成を得て12月に出版されたことである。この共著論文集『アメリカ文学と革命』には拙論「19世紀の交通革命と通信革命――エミリィ・ディキンスン、鉄道、電信」が所収されており、農業と表裏一体の関係にある産業という観点からディキンスンを捕らえ直している。鉄道網の発達に伴い地元によそ者が流入して産業が発達し、農業が空洞化していく様はディキンスンにとって受け入れがたい現実であった一方で、その現実を柔軟に受け止める一面も持ち合わせていたことを論じた。この論文はマサチューセッツ農科大学を誘致・設立していくディキンスンの地元アマストの農業環境と接続する内容となっている。
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