2014 Fiscal Year Research-status Report
英国唯美主義再考--服装・室内装飾の表象を手がかりに
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26770106
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
輪湖 美帆 中央大学, 理工学部, 助教 (50707106)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 唯美主義 / 唯美主義運動 / 室内装飾 / オスカー・ワイルド / 英米文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、19世紀の作家オスカー・ワイルドの作品を中心に、テクストにおける服装や室内装飾の表象に着目することで、テクストの新たな解釈を目指して研究を進めた。 具体的には (1) 1892年初演の『ウィンダミア卿夫人の扇』と (2) 1888年に発表された童話「幸福な王子」を扱った。(1)ではテクストにおける扇に着目し、扇に関する同時代の雑誌記事などを調査し、当時の英国における扇の文化的な意義を調査したうえで、テクスト内で扇がどのような意味を持つかを読み直し、新たな作品解釈を試みた。また(2)では、主に1870年代以降、唯美主義運動の一環として発展した中産階級家庭の室内装飾品において、ツバメが人気のモチーフであったことに注目した。言い換えれば、当時の英国中産階級の家庭の壁紙やステンドグラスなどで、ツバメは人気のあるデザインであったことを調査によって明らかにし、その上でテクストの主要キャラクターであるツバメの意義を考察し、作品の新たな解釈を検討した。 なお(1)は2014年11月29日青山学院大学にて開催された日本ワイルド協会第39回大会のシンポジウム「流行/装飾/マテリアル ― ワイルドと世紀末の消費文化」にて、講師の一人としてその成果を発表した。また、(2)は雑誌『英語英米文学』第55集(中央大学英米文学会2015年3月発行)に論文として発表した。 こうした考察を通し、ワイルド作品ではその重要なモチーフが当時の服装や室内装飾の流行と切っても切り離せないケースが少なからず見受けられること、またワイルドがそうした流行を意識的に作品に取り入れていた可能性が指摘できることを再認識した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、当初の研究計画とは異なるワイルドの2作品に注目することになったが、そうすることでかえって、ワイルドの作品の多くにおいて服装・室内装飾という視点を検討することの重要性が浮き彫りになる結果となった。その意味では、ワイルドの作品を主に検討する、という平成26年度の予定はある程度順調に進展したと言える。だが、本課題が目指す「唯美主義再考」のための理論的手法の確立は、依然として取り組み続ける必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方向性としては、ワイルド作品だけでなく、ワイルドを取り巻く女性作家たちによる小説等テクストの資料収集と、そうした作品における服装・室内装飾の表象を比較・検討する。またそうして得られた成果を随時口頭発表・論文の形にしていく。これにより、最終的には唯美主義研究という文脈におけるワイルドと女性作家たちのこれまでの位置づけを問い直すことを目指す。
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Causes of Carryover |
平成26年度の進捗状況に応じて、ワイルドを取り巻く女性作家たちによる小説等テクストを購入する予定であったが、ワイルド作品に関する資料収集、分析に時間をかけたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記テクストの入手は、そうしたテクストの分析と合わせて今後行っていく予定である。また、こうした一次資料のみならず、二次資料も継続的に購入、取り寄せなどを行っていく計画である。
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Research Products
(2 results)