2015 Fiscal Year Research-status Report
英国唯美主義再考--服装・室内装飾の表象を手がかりに
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26770106
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
輪湖 美帆 中央大学, 理工学部, 助教 (50707106)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 唯美主義 / 消費文化 / 服装・室内装飾 / オスカー・ワイルド / 英米文学 / ヴィクトリア朝 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、平成26年度に日本ワイルド協会第39回大会シンポジウムで行った口頭発表を発展させ、論文「アーリン夫人の扇―Oscar Wilde『ウィンダミア卿夫人の扇』に見る扇の二面性」として、『オスカー・ワイルド研究』第14号(2015年12月発行)にて発表した。 本論文では、口頭発表の際に頂いたコメントなどを参考に、扇の歴史をより詳細かつ広範囲に調査し、さらに多くの先行研究にあたった。同時に、テクスト分析の精度を高めることにも努めることで、口頭発表で得られた成果をさらに発展させ、19世紀後半当時の英国において、『ウィンダミア卿夫人の扇』がどのような意味を持ちえたのか、その考察にも踏み込むことができた。こうした過程を通し、オスカー・ワイルドのテクストに描かれる室内装飾や服装は、単に当時の流行を映すアイテムにとどまらず、テクストを分析し、それを同時代に開く際に有効な視点となり得ることを改めて確認した。 室内装飾や服装の同時代の状況を踏まえ、それをワイルドらによるテクストの新たな解釈につなげること、またそれにより同時代における同テクストの意義を問うことは、本研究課題の目的でもあるが、口頭発表を論文の形にまとめることで、その目的にもさらに近づくことができたといえよう。 また平成27年度は、オスカー・ワイルドの他のテクストも網羅的に収集を開始し、彼と同時代の女性唯美主義者たちによるテクストの収集等にも着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度はワイルドによるテクストのさらなる分析とその成果の論文化、およびそれに伴う資料収集を中心的に行った。これは本研究課題の狙いの一つである、「唯美主義再考」のための方向性を模索するのに有益なプロセスであったと考える。だが、編集者としてのワイルドにゆかりのある女性作家たちのテクストについては、関連する資料の収集は進めたものの、さらなる資料収集と分析が必要である。そのため、進行状況としては予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、編集者としてのワイルドに注目しつつ、これまでの成果を形にする方向で、遅れを取り戻しつつ研究を進めたい。まずは既に手元にある資料の本格的な分析に加え、より多くの一次資料および二次資料の調査、収集を行う予定である。そうして得られた成果を、英国唯美主義を問い直すという大枠のテーマを念頭におきつつ口頭発表や論文の形にしていきたい。
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Causes of Carryover |
平成27年度は、論文執筆とそれに関わる資料収集を中心的に行っていたこともあり、次の分析対象テクストに関連する資料収集と分析の進行がやや遅れ、それに関連した旅費等が生じなかった。そのため次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、資料収集をさらに進め、成果を形にすることで、繰り越し分および平成28年度分の予算を使用していく予定である。
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Research Products
(1 results)