2017 Fiscal Year Annual Research Report
The daguerreotype and American literature in the early half of the nineteenth century
Project/Area Number |
26770110
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
宮澤 直美 京都産業大学, 外国語学部, 准教授 (50633286)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / 銀盤写真 / 肖像画 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度末、米国雑誌Poe Studies: History, Theory, Interpretation 50号に掲載決定した英語論文の校正作業を進めた。エドガー・アラン・ポー研究の国際的学術雑誌として権威ある本雑誌への掲載は、本研究の大きな成果と言える。 同時に、最終年度の今年は、米国調査で得た資料や査読過程で指摘された文献に改めて目を通し、本課題が今後の研究の中でどのように発展しうるかを模索した。より多角的な視点から写真と文学の関係性について検証すべく、心理学と視覚芸術論を結合させた先行研究、19世紀の日本、フランスにおける銀盤写真の受容などに関しても調査を行った。その結果、リアリズムの立役者ともなった写真が一般的に普及するにつれ、文学と写真、絵画の共同作業とでも呼べる相互依存的な関係が構築されていく点に気がついた。例えばトルーマン・カポーティやガートルード・スタインの作品がその傾向を顕著に表している。写真や絵画と極めて関わりが深いにも関わらず、視覚芸術との関係性という側面からは十分な分析がなされてこなかった作家を取り上げ、文学と視覚芸術が互いに影響し合う様を検証する学術的意義を強く感じた。その後、文学と視覚芸術を領域横断的に研究する際の論点、着眼点、そして意義を先行研究で検討した。大きなテーマではあるが、段階的に検証することによって研究可能であり、かつ意義のあるテーマだと考え、平成30年度の科研課題として申請し、採択されるに至った。 視覚芸術と文学との関連性を考察するという今後の大きな研究プロジェクト課題を見出すと共に、その一環をなす研究に着手するための基盤を築づくことができた。最終年度の研究を発展的に締めくくることができた。
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