2015 Fiscal Year Research-status Report
グリム兄弟編『メルヘン自注』全3版の基礎的研究――協同の実態について
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26770121
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
横道 誠 京都府立大学, 文学部, 講師 (60516144)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | グリム兄弟 / 文献学 / ゲルマニスティク / 学問と政治 / ナショナリズム / 学際性 / 国際性 / 伝承研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
第2年度は、雑誌論文2編(査読付1編、査読なし1編)を刊行し、国内学会での口頭発表2回(ともに全国大会)、国際学会での口頭発表1回(ドイツ語)をおこなった。 研究実施計画は、法制史家として出発したグリム兄弟が法への関心をいかにして『メルヘン自注』内の方への関心と結びつけているかを探るというものであった。この課題は、(すでに前年度の実施状況報告書でも報告したとおり)初年度から前倒しで開始されており、その成果の一部は査読付雑誌論文(『日本ジェンダー研究』第18号、2015年に巻頭論文として掲載)でも公表されている(なお、昨年度の実施状況報告書を執筆した段階で掲載が確定していたため、「研究発表(平成26年度の研究成果)」の項目に記載済みであり、本報告書の「研究発表(平成27年度の研究成果)」には記載していない)。国内学会での口頭発表(比較民俗学会)とそれを論文化した査読なし雑誌論文、国際学会でのドイツ語による口頭発表の3つは、これまでの研究の概要の紹介を意図したものである(なお、国際学会での発表に関しては、昨年度の実施状況報告書を執筆した段階で掲載が確定していたため、「研究発表(平成26年度の研究成果)」の項目に記載済みであり、本報告書の「研究発表(平成27年度の研究成果)」には記載していない)。国内学会でのもうひとつの口頭発表「ゲルマニストの古スペイン語伝承歌謡集 ヤーコプ・グリムの一側面」(説話・伝承学会)は、伝承についての兄弟間の相違点を、『メルヒェン自注』以外の書物を用いて浮き彫りにする意図を有していた。 論文・口頭発表として具体的な形になった上記の研究成果以外に、第3年度に著書(共著)・論文・口頭発表として公表される内容の研究も順調に進捗した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「研究の実績の概要」に記したとおり、第2年度の研究計画は順調に進捗した。初年度の課題のうち、ヤーコプ・グリムに対するバジーレの影響とヴィルヘルム・グリムに対するペローの影響を比較対照する作業は(他の研究作業と順序を変えたために)先送りされていたが、これは第3年度に研究成果が刊行される予定である。第2年度の中心課題だった、グリム兄弟の『メルヒェン』自注における刑罰に対する関心の考察も、第3年度に研究成果が刊行される予定である。ここから、「現在までの進捗状況」は「当初の計画以上に進展している」と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」に記したとおり、第2年度までに研究された未刊行の成果を著書(共著)、雑誌論文、口頭発表の形で公表する。 当初計画において第3年度の計画内容としていたもの(ヤーコプ・グリムの『ドイツ法律故事誌』とヴィルヘルム・グリムの『メルヒェン自注』第3版の比較)は、すでに初年度から着手され、一部の成果は初年度の日本ジェンダー学会口頭発表と第2年度の『日本ジェンダー研究』掲載論文として公表された。第3年度には、その内容を補完する論文等が公表される予定である。 研究計画そのものは第3年度が最終年度であるが、今後の研究への展開をも見通しながら、包括的に研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
第2年度には必要文献の追加購入の必要から第3年度に予定していた配分額を一部(20万円)前倒しで支払い請求した。これによって目的の文献をおおむね購入できたが、書籍代との兼ね合いから完全に使い切ることが困難であったことから、次年度使用額が発生することになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
必要文献の購入を中心とした使用計画を組んでいる。
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